坂城 匠の部室探訪
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注意:このお話は2年次の初夏のお話です。



〜さわやかなオープニングテーマソング〜


「こんにちは〜、みんなのアイドル2年A組のの坂城 匠で〜す!」
「今年は僕がこの番組の司会をすることになりました!」
「今日は、ひびきの高校の部室を探検したいとおもいま〜す!」

(しかし、この話をしたら主人の野郎『葬式にはでるから』ってどういう意味だ?)
(わかったところで、ギャラのクリームソーダ5杯を前払いしてもらっちゃったし……)


「今年は数ある部活の中から、運動系文化系それぞれ4つの部室を探検しま〜す」
「なお、以前告知していたバレー部と吹奏楽部は脅迫文が放送部にきたので来年になりました〜」
「ちなみに脅迫文の内容は
 『来年にしないと、ひどい目にあうから……』
 『来年美人教師がくるから、来年にしないと、放送部が消滅するわよ』
 という文だったそうで〜す」

(俺、嫌だぞ、来年も司会なんて……)



「ではさっそく陸上部からで〜す!」



陸上部

「いや〜、陸上部の部室はきれいですね〜」
「それにスポーツ飲料に、タオル、スプレーに耳栓など小物も充実……え?」
「あれ?どうかしました?」
「耳栓ってなんであるんですか?」
「ああ、これうちの部では必需品なの」
「え?」


「あっ、もうすぐだわ、急がないと!」
「え、え、皆さん、急に耳栓してどうしたんですか?」


「◎▽★●☆〇△▽※@♭♭∀≦@$‰♯!」


「な、なんだ今の声は……」
「ふぅ……終わったようね……」
「い、今のはなんですか?」
「あれね〜、うちの2年生エースの陽ノ下さんの声なの」
「え〜、陽ノ下さんが!」
「ええ、競技のたびに叫んでたまんないのよ」


「し、種目は?」
「女子ハンマー投げ」
「……」



「つ、つぎは剣道部です……」
(イメージがぁぁぁ、光ちゃんのイメージがぁぁぁ)



剣道部

「おっ、ここは男らしくていいな」
「そうだろ、男子の部室は汚いらしいがうちは別だぞ」
「そうなんだ、純」
「女子より綺麗な部室が俺たちの誇りだ!」


「き、綺麗って……しかし、道具が綺麗にならんでいるな……」
「だろ?」
「面、防具に、竹刀にビキニパンツ……げげっ!」


「どうした、匠?」
「お、おい、この大量の黒のビキニパンツはなんだ?」
「ああ、これ毎年文化祭の出し物のダンスの衣装だよ」
「い、衣装?」
「ああ、これだけ身につけて漢の踊りをみせるんだ?去年みなかったか?」
「い、いや……」
「そうか、じゃあ、今年は見に来てくれ」


「純、おまえ、これだけで恥ずかしくないのか?」
「全然」
「女の子がみているのにか?」
「なんたって、漢が肌と肌を合わせて踊るんだ、女なんてわすれちまうよ!」
「……」



「ぶ、文化祭が、た、たのしみですね、次はテニス部です」
(純はアレだったのか……もうつきあうのやめよう……)



テニス部

「やっぱり、テニス部っておしゃれな部室なんだな……ってあれ?」
「くすん、くすん……」


「あれは寿さんじゃないか?どうしたんですか?」
「美幸はやっぱり不幸なんだ……」


「どうしたの?俺に教えてよ」
「あのね、美幸がサーブをすると、ボールに火がつくの」
「えっ?」

(それって火の玉サーブってやつか?)


「それが相手にぶつかって丸焦げになっちゃうの」
「へっ?」


「今日も3人も……ああなっちゃった」
「?」
「あそこに気絶しているのが……」

(げっ!あれ、練習用の人形じゃなかったのか!)


「やっぱり美幸は不幸なんだ……」
「へっ?」



「ぶ、部員の皆さん、お大事に……つぎは野球部です」
(体験入部なんて企画もあったけど……断ってよかった……)



野球部

「う〜ん、野球部ってドラマとかでみるけど、やっぱりそのままだな……」

「くすん、くすん……」
(げっ、また泣いているのかよ!)


「くすん、くすん……」
「あ、あれ?ま、マネージャーの佐倉さんじゃないか?どうしたの?」

「あのね?せっかく私がノックを手伝うっていったらみんな怖い顔して断るの」
「どうして?」
「『また俺たちを殺す気か』って、私そんな覚えはないのに……」
「ひどいね……」


「せっかく、私がバットを持ってボールを打ちたいっていうのに……」
「そ、それって……」
「あの『カキーン』という感覚がたまらないのね」
「そうだよね……」
「それで、部員が土まみれで倒れて痛がるのがみたいのに……」
「へ?」
「たまにはボールが体に直撃して苦しむ姿がたまらないの……」
(な、なんかやばいぞ……)


「あ〜っ!もういい、とにかくボールを部員にぶつけたいの!」
「ちょ、ちょっと!」
「もう我慢できない!ここでノックをするわ!」
「ぶ、部室の中でって……それに男は僕だけだけど……」
「だれでもいいわ!もうさっそくやるから!」
「ま、ま、ま、待ってくれ……うぎゃぁぁぁぁぁぁ!」



「し、死ぬかと思った……今度は文化系クラブです」
(も、もう殺される心配はないと思うが……)



演劇部

「さすが演劇部、衣装がたくさんで華やかだな〜」
(やっとまともな部室に巡り会えた!)


「あら?こんにちは、今は劇の練習をしているんですよ」
「そうなんですか、白雪さん」
「今日は台本あわせをするんです、ちょっと聞いてみませんか?」
「お言葉に甘えて……」


「ではいきますね……」

「Νθλ☆Ξν▽仝‖●」
「Σμ▲≫∩∋±νΞΡ」
「μ≪θρΥ○★◇ΝΣτ」

「いいできですね……最高です!」


「あの〜、この劇は……」
「ええ、今回は古典の名作に前衛芸術をミックスさせたんですよ」
「た、タイトルは?」
「『妖精さんの言語によるハムレット』です♪」
「……」



「こ、こちらも文化祭が楽しみですね……次は茶道部です」
(こっちは、体じゃなくて頭が痛くなりそう……)



茶道部

「さすがだな、落ち着いた雰囲気で心が安らぐ部室だ」
「そうね、和を追求するならこういう雰囲気にしないとね」


「なるほど、それで日本の物がたくさんあるんだな」
「茶道部は、徹底的に和を極める部なの」
「へ〜っ」
「和の世界は奥が深いの」


「しかし、研究熱心だな。埴輪、甲冑、鎧兜、振り袖……!!!」
「あら、どうしたの?」
「み、水無月さん……どうして、鞭や蝋燭や荒縄があるのかな?」
「だから言ったでしょ……和の世界は奥が深いって……うふふ……」
(ま、まさか……)


「そういえば、坂城くん、女の子みたいでかわいいわね」
「そ、そうかな……」
「坂城くんに振り袖を着せて、あ〜んなことやこ〜んなことを……うふふ……」
「ぼ、ぼくはこの辺で……」


「待ちなさい、見た以上は和の世界を体感してもらうわよ!」
「ぼ、ぼくはそ、そんな趣味は……うぎゃぁぁぁぁぁ!」



「はぁ、はぁ……和の世界はとっても、気持ち良か……いや、深いですね……つぎは生徒会です」
(あ、危なかった……もう少しで……)



生徒会

「な〜んか、ドアの向こうは騒がしいんだけど……」
「こんにちは……」


「ドラゴンキィーーーック!」
「うぎゃぁぁぁ!」


「あっ、ごめんごめん、いま、ちょっと練習していたから」
「な、何を!」
「生徒会は生徒を守るためにあるからな、そのための特訓なんだ」
「特訓?」
「まあ、部室を見ればわかるよ。今日はそれが目的だろ?」
「ま、そうだが……」


「じゃ〜ん!これがわが生徒会の部室だ!」
(生徒会?どう見てもヒーロー研究会の部室だぞ?)


「やっぱり、生徒のヒーローとはなんたるかを常日頃考えないとな」
(ほかにやることがあるんじゃないの?)


「だから、過去のヒーローの本やビデオを見て研究しているのさ!」
(せ、生徒会本来の資料が何もない……大丈夫か?)


「だから大丈夫!それじゃあ、今日は特別に成果を見せてやる!みんな集まれ?」
「集まれって……うわぁ!戦隊もののコスプレ集団が!」
「あっ、ちなみにこれの衣装は生徒会費からでているからな」
(そ、そんなことに俺たちの金を使うなよ……)


「じゃあ、おまえが悪役だからな」
「えっ、もしかして……うぎゃぁぁぁぁぁ!」



「こ、これでここも、あ、安全ですね……最後は電脳部です」
(匠、耐えろ……次が最後だ……この痛みもそれまでだ……)



電脳部

「こ、こんにちは……」
「やあ、待ってたのだ……ってどうしたのだ!」
「いやあ、体を張った取材で……」
「これはひどいのだ……」
「そ、そうなんだよ……」


「これはいい実験材料が手に入ったのだ」
「えっ?」


「貴様は不死身の体が欲しくないか?」
「ま、まああればいいけど……」
「そ、そうなのか?じゃあ今からその体をあげるのだ!」


「ちょ、ちょっと待って」
「なんなのだ?」
「見た感じ実験道具ばかりだけど、スーパーコンピュータとかないの?」
「えっ、そんなものないのだ」


「えっ、ここって電脳部、つまり『電子頭脳部』だろ?」
「何を勘違いしているのだ?」
「えっ?」


「ここは『子頭と機械品の体をもつ人間を作る星を研究する会』なのだ」
「う、うそだろ……」


「つい先週、その星にアクセスする方法がわかったのだ。これからその星に行ってもらうのだ」
「ど、どうやって?」


「外を見るのだ」
「え、SLが空を飛んでるぅぅぅぅぅ!!!」


「あれに乗っていくのだ」
「……」
「これはあの電車に乗るパスポートなのだ」
「……」


「ではいくのだ!結果を楽しみに待っているのだ!」
「お、俺は人間の体がいいぃぃぃぃぃぃ!」


〜佐々木 功の歌によるエンディング〜


めでだしめでたし?


後書き 兼 言い訳
 
どうもBです。
 
ひさしぶりの短編はバカSSになりました
書いていて「俺、バカじゃないのか?」って思いましたから。

楓子嬢の関係で2年でのお話になりました
2年でのバレー部と吹奏楽部はネタが思いつきませんでした。(^^;)

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