私の名前は陽ノ下 光。
ひびきの高校に通う18歳。

自分で言うのも何だけど、どこにでもいる普通の女子高生だと思う。

でもね、私は実は秘密があるんだ!

それはね……

実は私……ドロボーなの。



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私のご先祖さんにね、「アルセーヌ・ルパン」っていう人がいるの。
ヨーロッパで大活躍した世紀の大怪盗。
ヨーロッパに色々な伝説が残っているんだって!

そのルパンの孫に日本人がいたの。
その人が「ルパン3世」ていって、この人も有名な大怪盗。
この人もヨーロッパを中心に世界中を回って、色々なお宝を盗んだりしたんだって!

怪盗っていっても、ご先祖様は人殺しはしないんだよ。
なんでもアルセーヌ・ルパンは血が嫌いだったって。
もしかしたら私も受け継がれてるのかなぁ?
私、お化けとかホラーとか苦手なんだ……

それに、二人のご先祖様、人助けもしたことがあるんだって!
だからヨーロッパでヒーロー扱いされるんだろうね♪



話を戻すね。
そのルパン3世のひ孫にあたるのがわ・た・し♪
アルセーヌ・ルパンから数えて7代目になるの。
だからかなぁ?髪が紅くて、瞳は青いのは。

そんなご先祖様の話を知って、私、ご先祖様にあごがれるようになっちゃった!
もうご先祖様のルパン様と3世様に夢中!

で、私決めました!

私、世界一の怪盗になる!
ご先祖様みたいなヒーローになる!

それを両親に話したら、なぜか喜んでくれたの。
普通「ドロボーになる」って話したら怒るよ。やっぱり家系なのかなぁ?



でもドロボーになるっていっても何したらいいんだろう?

「やっぱり、華々しいデビューが必要よ」

こう言ってくれたのが、私の親友の水無月琴子。
私がドロボーになるって打ち明けたら、

「私もお供していいかしら?」

だって。びっくりしちゃった!「なぜ?」って聞いたら。

「私のご先祖も……泥棒なのよ」

琴子のご先祖に「石川五右衛門」っていう日本で有名な大泥棒がいたんだって!
このご先祖さんの十三代目の「石川五ェ門」ていう人が私のご先祖の3世様と仲間だったんだって!
琴子と私、生まれる前からこうなる縁だったんだね♪

琴子って、実は居合い抜きの名手だって!
ご先祖さんがそうだったから、子供の頃から真剣で練習していたって!すご〜い!



「でも華々しいデビューってどうすればいいの?」
「やっぱり、大きな物を盗めばいいと思う……」


こう言ってくれたのは、八重花桜梨さん。
琴子が私のお供をするって決めたすぐ後に私に紹介してくれたの。

「実は……私の先祖、ドロボーの仲間だったの」


びっくりしちゃった!
だって、花桜梨さんのひいお祖父さんに「次元大介」ってガンの名手がいたみたいだけど、
その人が私の3世様の仲間だったんだって!

「人間の縁って……恐ろしいのね……」

花桜梨さんそう言って驚いてた。
花桜梨さんも射撃の名手だって!
人間って外見から判断するもんじゃないね。

「どうしてドロボーになるって決めたの?」って聞いたら、

「これも何かの縁だし……それにおもしろそうだから……」

だって。



「大きな物か……どんなのがいいんだろうね?」
「まずは、ひびきので一番インパクトのある物を盗むのよ」


こう言ったのは、私の子供の頃からお世話になってて、
今は私のクラスの担任の麻生華澄さん。

私がドロボーになるって話をどこからか聞きつけていきなり

「私も仲間にして♪」

だって。それでも教師なの?って思っちゃった。
そうしたら、

「だって教師って給料やすいから、副業には最適よ♪」

だって。呆れちゃった。
でも、追い返すわけにはいかないから、一緒に仲間になることにしたの。

まだドロボーデビューしてないのに、仲間が3人。
なんか楽しくなりそう♪



「でも華澄さん。ひびきので一番インパクトのあるものって?」

「あれよ」

「えっ〜〜〜!アレって」
「で、伝説の鐘じゃない!」
「本気かしら……」


華澄先生が指さした先は、学校の中庭にある伝説の鐘。
「卒業式に鐘に祝福されて生まれたカップルは永遠に幸せになる」っていう伝説があるの。
あの鐘は女子高生のあこがれなのに……どうして?

「あの鐘ね……壊れていて鳴らないの」
「へっ?」

「それにね……あの鐘、24金なの」
「えっ、24金!」

「あの鐘の重さと今の金の値段を考えると……」
「3億はくだらないわね」

さ、さ、さ、3億!
ドロボーデビューでいきなりそんなの盗んじゃうの!

「デビューには最高の獲物ね」
「インパクトは最高だと思う……」
「じゃあ決まりね」
「ちょ、ちょっと……」


しょうがないか……
でも、盗むと決めたからには絶対に盗んでやるから!
まずは予告状を書かないと!



「世界制覇の手始めに
 明晩、伝説の鐘をいただきにまいります♪
                      ルパン7世」


ひびきの高校校長室

「ぬわにぃ〜、ルパンじゃとぉ!」

「どうしたんだよ和美ちゃん」
「ルパン7世とかいう奴が、伝説の鐘を盗むと予告しおった」
「えっ、伝説の鐘?」
「そうじゃ」
「しかもルパン7世……」

「伝説の鐘を盗もうなどこの爆・裂・山が許さぁぁぁぁぁん!」
「か、和美ちゃん声が大きい!」
「す、すまん」




「それで警察がたくさん学校にきてるんだ」
「そうじゃ」

「なあ、和美ちゃん、ひとつ聞いていいか?」
「なんだ?」
「ここって、東京都だろ?」
「そうじゃ?」

「なんでパトカーに『埼玉県警』って書いてあるんだ?」

「儂の趣味じゃ」
「はぁ……」




「しかしあんなのどうやって盗むんだ?」
「そうじゃな、あんな重いものを」
「それにどうやって鐘をおろすんだ?」
「わからんのう……」

「まあ、こんなに警察がいれば大丈夫だろ!」
「まあそうじゃな、犯人が本物のルパンじゃないかぎりな」




そしていよいよドロボーデビューの夜がやってきたんだ♪
なんかわくわくする!
う〜、このドキドキがくせになりそう!

「しかし、あの方法で大丈夫なの?」
「大丈夫!私に任せて!」
「まあ、大丈夫っていうなら、信じましょう……」

「まずは警備が厳しいところを進入しないといけないわね」
「うん!そこは任せて!」



「しかし、ルパンは来ねぇなぁ」
「そうじゃな」
「あれ?あそこのトラックはなんだ?」
「確か、校舎の壁の補強の工事があるはずじゃが、確かあさってだったような……」
「明日の間違いじゃないのか?」
「そうかもしれんな……」



ひびきの高校校門
警備中の校門に一台のトラックがやってくる。
運転席には、サングラスに野球帽、マスクをした男性がいた。

「もしも〜し、警察だけど、学校に何のようだ?」
「え〜と、明日から校舎の工事をするもので、その準備を……」
「わかった、いま警備中だからとっとと帰れよ」
「へ〜い……」


トラックは何の問題も無く入っていった。



「やった、大成功!」
「光、すごいわね……見事にだましたわよ」
「びっくりした……」
「光ちゃん、どうしてそんな事ができるの?」
「この日のために特訓したの♪」


えへへ、実はあの運転手……私の変装なの♪

私のご先祖様って、二人とも変装の名人なんだって!
だから、昔の文献を探して変装のテクニックを身につけたの。
琴子や花桜梨さんみたいに武器は使えないけど、
この変装のテクニックは誰にも負けないよ!

警察の人、あっさり騙されちゃった。
う〜ん、この達成感……やみつきになりそう♪



「つぎは中庭の鐘の塔に入らないといけないわね」
「でも入り口には警官が二人もいるわ」
「ここは私に任せて……」
「お願いね」


花桜梨さんが銃をとりだした。
麻酔銃ってやつだね。サイレンサーってやつもつけていて銃声が聞こえないんだって。
しかし、銃を構えている花桜梨さんの表情……綺麗だなぁ……

ばきゅん!ばきゅん!

あっ、すごい!
警官があっというまに寝ちゃった!
トラックの中からだよ!距離も結構あるし。
花桜梨さんってすごいなぁ……

「そんな事言っている暇は無いわ!急ぎましょう」
「うん!」



「和美ちゃん、警備はどうだい?」
「ああ、なんら異常はないそうだ」
「へぇ〜」

「ところでほむら」
「なんだい和美ちゃん」
「なんでほむらがここにいるんだ?」
「いや〜、本物のルパンだったらいいなぁっておもって」
「はぁ?」
「本物のルパンってかっこいいんだろうな……」
「……」




中庭の鐘の塔の入り口

警察の隊長らしき人が入り口に構える警官に話しかける。

「今のところ異常はないか?」
「はい!異常はございません」
「わかった、これからも油断するなよ!」
「はい!」


隊長は塔から戻っていった。



えへへ、油断してるのはそっちだよ〜。
入り口の警官も私のへ・ん・そ・う!
もう一人は花桜梨さんにお願いしちゃった。
花桜梨さんもうまく変装できたみたい。

変装って楽しいなぁ♪



そして、塔の最上階。
そこには琴子と華澄がいるけど、大丈夫かなぁ?

「さてと……この鐘をおろさないといけないわね……」

「こんなの簡単よ……」
「えっ?」
「大きいなら小さくするまでよ……」
「まさか……」
「そのまさかよ……」


琴子が持っているのは水無月家の家宝『斬鉄剣』
この刀と居合い切りさえあれば何でも切れるんだって!
琴子がドロボーになったお祝いに両親からプレゼントされたんだって!
しかしお祝いってなんで?



「えいやっ!」

ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ

琴子、何度か鐘を切ったように見えたけど、何にも音がしないよ?
失敗したのかな?
そう思ったら、いきなり鐘がバラバラになったの!

だって24金だよ。重さが1トン以上なんだよ。それが3個なんだよ。
それを粉々にするなんて、琴子、すご〜い!
でも琴子、

「ふうっ……また、つまらぬものを斬ってしまったわ……」

だって、琴子かっこいい!

バラバラになった鐘は直前に塔の隣に寄せておいたトラックの荷台に全部落下。
これでトラックごと学校から脱出すればドロボー完了!
さあ、帰る準備をしなくっちゃ!



「あれ?……おい、和美ちゃん!」
「なんだ、どうした?」
「か、か、か、鐘がなくなってる!」
「なんだと〜!」
「さっきまで鐘はあったんだよ!」
「そ、そうだった、儂も見ておる」
「すげぇ……」




「あれ?なにか慌ただしいよ?」
「やばいわ、警察が気がついたみたい……」
「早く逃げないと!」
「ここは私に任せて!」


そういって華澄さんは運転席に乗っちゃった。
たしか、華澄さんの運転って……
しかし、捕まるよりはましか……



「みんな乗った?」
「うん、乗ったよ!」
「じゃあ、いくわよ!」


ブロロロロロ…………

いきなり華澄さん。アクセル全開でぶっ飛ばしたの。
これには警察もびっくり。
止めようとしても、もう誰にも止められない。
華澄さん、スピード狂なんだよね……



校門のバリケードも突破して、これで隠れ家に戻るだけ……って。あれ?

「おのれ〜、ルパ〜ン!逮捕してやる〜!」

こ、校長!
校長が自転車で追いかけてくる!
は、速い!高速道路でも十分走れる速度だよ!

でも華澄さんのスピードにはかなわない。
あっという間に離しちゃった。

えへへ!ドロボー大成功!



次の日。
学校は大騒ぎ。
だって、伝説の鐘が一瞬で盗まれちゃったんだよ!
それに新聞やテレビが「ルパン復活!」なんて特集をやるから嬉しくて。

ルパンの正体について、いろいろな推測をやってるけど、
まさか女子高生の仕業なんて聞いたら驚くだろうな〜♪

琴子も花桜梨さんも周りの反応を楽しんでるみたい。

でも、女の子からあの伝説を奪ったのはまずかったかな……
そりゃあ私も女の子だから……



でも、華澄さん、どうしてるんだろ?
琴子と花桜梨さんとでこっそり職員室を覗きに行ったら……

「しかし、今回は大もうけね〜、なんたって3億だもの」
「この3億どうしようかな〜?使い道に困るわ〜」
「アメリカ株かしら?それともアルゼンチン国債もスリルがあっていいかな〜」
「ううん、どこかの株を買い占めて会社を乗っ取るのもいいかもね」
「違うわ、今は金がお買い得なのよ!そうよ、金よ!3億全部金を買おうっと!」


か、華澄さん……

「か〜す〜み〜さん!」
「は、はいっ?」
「いま3億の使い道を考えていませんでした?」
「い、いやそんなことは……」
「まさか、全部独り占めなんてことは考えてないよね?」
「ま、まさか……」
「金で運用とか言ってたけど、私たちは金を盗んだのよ……」
「そ、そんなこと……」

「か〜す〜み〜さん!」
「か〜す〜み〜さん!」
「か〜す〜み〜さん!」

「さ、授業に行かなくっちゃ!さよなら!」
「こ、こら!」


は〜あ、前途多難だな……
でも、頑張って世界的なドロボーになるんだ!
そして、いつしか人助けもやって、世界的なヒロインになるんだ♪
楽しい仲間もいるし、がんばらなくっちゃ!

あっ、これから華澄さんを追いかけるから!
それじゃあ、またどこかで逢いましょうね♪

「華澄さん!待ちなさ〜い!」


To be continued?


後書き 兼 言い訳
 
どうもBです。
 
これってパロディものっていうのかな?
とにかく、他のアニメを引用したのはこれが初めてです。

とある場所でルパンのテーマのユーロビートバージョンみたいなのを聞いたらなんとなく思いついてしまいました。

光→ルパン、琴子→五ェ門、花桜梨→次元、華澄→不二子という配役です。
意外にぴったりくると思うのは私だけでしょうか?


銭形警部に対応するキャラですが。
最初は光の幼馴染みをライバルにしようかと思っていたのですが、
ときメモ2にはそれよりも最適なキャラが。
ええもちろん校長です、だって声優が同じなんだモン♪

タイトルと設定の「7世」ですが、小説でアルセーヌ・ルパンが活躍したのが1900年前後です。
それを考えると、光は4世か5世になるのですが、3世とあまりに近すぎるので7世にしました。
それに7世って響きがいいし(こら

ちなみに本文中の「石川五ェ門」ですが、ルパン3世ではこれが正式です。
ええ、公式サイトを見て調べたので間違いないです。

そうそう、「女の子で泥棒ものなら素直に『CAT'S EYE』を使えよ!」という突っ込みはしないでください(汗

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