第4話目次第6話

太陽の恵み、光の恵 外伝

第0集 光と公二の新婚アルバム

Written by B
台所をトビラの外から撮影した写真。

テーブルには料理器具がお店のショーケースのように無駄に山積みになっている。

テーブルの中央にはこれまた山積みのチョコレート。

そしてテーブルの手前にはボウルの中身を懸命に泡立て器でかき混ぜている光。

大きくなったお腹にボウルを乗せるように抱えて真剣な表情の光の横顔が写っている。

写真の端には光の母とおぼしき人物の影も見えている。




「これ、バレンタイン?」
「そうだよ」
「そうだよって、なんか余計や物まで山積みになってるわよ。せいろとか大根おろしとか」
「そ、そんなところまで見ないでよ〜」
「もしかして、初めて?」
「うん、初めての本命チョコ……」
「本命って、お腹をおっきくして旦那相手に本命もへったくれもないわよ」
「そ、そうだけど……」



「ところで、これまでも手作りってなかったの?ほら引っ越す前とか」
「そのときは、チョコレート食べる日としか思ってなかったから作るなんてとてもとても。そのあとは義理チョコでお店で買ったの渡したことはあったけど、本命は……」
「はいはい、のろけ話はいいわよ」
「のろけ話って決めつけないでよぉ〜」
「大変だったのなのかもしれないけど、結局最後はのろけ話になるからいいわよ」



「ところで、これ、なんかこっそり撮影したみたいなんだけど……」
「うん……」
「あのさ、なに赤くなってるのよ、またのろけ話?」
「そういうわけじゃないんだけど……これ撮影したの公二」
「えっ?主人くん?あんたまさか贈る相手目の前にしてチョコ作ってたの?」
「だってぇ〜、本当は当日郵便で着くようにしようかと思ったんだけど、その前の土日に公二がくることを忘れてて……」
「で、北海道からはるばる来た旦那さんを放っておいてチョコ作り?」
「ううっ……『恥ずかしいから見に来ないで部屋にいて!』って言ったんだけど……」
「そりゃ、主人くんだって興味があったんじゃないの?やることもないだろうし」
「たしかにそう言われて……私、料理なんてそのころほとんどやってなくて……だから余計恥ずかしくて……」
「はいはい、のろけ話は結構よ」
「だからぁ〜」
「顔真っ赤にしてれば、そう思うわよ」



「ところで、チョコは結局どうしたの?」
「『当日食べる』って持って帰った。それで、当日電話で『美味しかったよ』って」
「ふ〜ん、よかったじゃない」
「えへへ……」
「でも主人くんなら、他にたくさんチョコもらったんじゃないの?」
「うっ……思い出したくなかったのに……」
「どのぐらい?」
「義理が8個、本命っぽいのが4個。どこをどうみても本命が1個だって……」
「モテモテじゃない」
「おもいっきり嫉妬しちゃった。もうお腹の恵に悪影響だったわよ」
「そんな心配しなくても、光の血が半分流れているからもう遅いわよ」
「それどういう意味なのぉ〜!」
To be continued
後書き 兼 言い訳
前日にネタを思いついて、思いつくままに一気に書いてしまいました。
ええ、勢いだけで書きました。

光自身は真剣な表情なのかもしれないけど、琴子からみれば幸せいっぱいに写っていたのかもしれませんな。
目次へ
第4話へ戻る  < ページ先頭に戻る  > 第6話へ進む