第3話目次第5話

Fieldの紅い伝説

Written by B
最近、公二君の様子がおかしいんだぁ……
 
日曜日になると、どこかに出かけちゃう。
もっといろいろ教えて欲しいのに……

 
「公二君。今度の日曜空いてる?」
「ごめん、用事があるんだ」
 
何かあるのかなぁ?
 


デビュー戦。思い出すと今でも悔しいけど、あのときの1点のおかげかな?
何度も練習試合に出してもらえるようになったんだ。
 
出場3試合目でゴールを決めたときは嬉しかった!
あのとき、思わずスタンド最前線の公二君のところに走って飛びついちゃった。
公二君困った顔をしていたけど、喜んでくれたんだよね。
当然監督に怒られちゃったけど、私の本当の初ゴールは公二君と一緒に喜びたかったから……
 
ポジションはまだまだFWや、サイドの攻撃的MFが多いけど、
たまに、終了間際にゲームメイクをさせてもらえるようになったんだ!
 
まだまだ勉強することはあるけど、今はサッカーが楽しくてしょうがないよ!
 


それなのに公二君ったら……
 
あっ、もしかして私に隠れてデート?
う〜ん、公二君ならデートするような女の子はいるだろうねぇ……
中学でもサッカー部のエースだからモテていたんだろうな……
 
でも、でも……やっぱり気になる!
決めた!今日は公二君の事を追いかける!
 
こ、これって「すと〜か〜」かなぁ?
でも公二君がいけないんだよ!恋する乙女を不安にさせるんだから、うふっ。
 


と、いうことで公二君の家の前。
見つからないように、公二君が家を出るのを待つ。

 
「いってきます!」
 
公二君だ!
あっ、なんかオシャレしている……
私の前ではあんな格好したことないのに……
やっぱり……
 


そんなこんなで、きらめき中央公園まできちゃった。
なんできらめき市に?
も、もしかして、きらめき市にお目当ての女の子が?
ま、まさかね……
 
あっ、誰か来た!隠れなきゃ!

 
「こめんなさい。待った?」
「いや、全然待ってないよ」
 
うわっ、び、美人……
 


「でも、嬉しいな……」
「なぜ?」
「少し前は、また公二君とこうして話ができるとは思わなかったから……」
「俺もだよ」
 
え?また?
じゃあ、昔から知り合いだったの?
中学で一緒だったのかな?

 


「今でも信じられないよ。まさか、きらめき高校にいたなんて……」
「私も。公二君がひびきの高校だなんて……」
「そういえば、どうしてきらめき高校に入ったの?」
「ああ、女子サッカーができるところを探していたらここがあったから……」
 
え?彼女もサッカーやってるの?
そういえば、スポーツができそうなスタイルしているし。
やっぱり、中学からの知り合いなんだ……
もしかして恋人なのかなぁ……
 


それから、公二君とその女性は学校の様子を話していたんだ。
でも公二君。私の事を話してなかったな。
やっぱり、女性の前で他の女性の話は失礼だもんね。
 
でも、部活のことも話してないなぁ。
中学の同級生だったら、怪我のことが気になるはずだもんね。
公二君。怪我が直ったって発表しているから、彼女もたぶん思っているだろうね。

 


「ねえ、公二君」
「なんだい?」

 
「また……サッカー始めた?」

 
えっ!
それは公二君が一番聞きたくない質問だよ!
公二君どうするんだろう……



 
「………」
 
「そうだよね。もうサッカーできないんだよね……ごめんね」


 
えっ!
足の事を知ってる!
彼女、一体何者なの?

 


「始めたよ……サッカー」

 
えっ?

 
「ちょっと!どういうこと!もうサッカーできないんじゃ……」
「プレーはできなくても……教えることはできるから……」

 
そ、それって、前に私が公二君に言った台詞……
 


「え?……じゃあ、部活のコーチになったの?」
「いや、専属のコーチになってる」
「誰?誰の専属なの?」
「ひびきのに俺の幼馴染みがいるんだ。彼女に個人的にサッカーを教えている」
「彼女?えっ女性なの?」
「ああ、俺の足の事も知ってる。俺が教えたんだけどな」
「そのとき彼女なんて言ったの?」
「『私が公二君を国立競技場に連れていく!』っていいだしたよ。それが彼女がサッカーを始めるきっかけだよ」
「そう、公二君のために……」
 
い、いっちゃった……私のこと
彼女、表情が変わったよ!なんか寂しそう……

 
「ねぇ、公二君。今彼女に教えて楽しい?」
「ああ、彼女はド素人だったけど、だんだんすこしずつ成長していくのを見ているのが楽しいよ」
「なんか赤ちゃんをそだてているみたいね」
「本当だ、はははは!」
 
ぶ〜!赤ちゃんだなんて!
でも彼女、表情が緩んだみたい。よかった……

 
「なあ、今度ひびきの高校に来るんだろ?紹介してやるよ」
「本当?私も彼女に興味があるから……」
「もしかしたら、君のライバルになるかもしれないからな」
 
うそっ!
公二君。私を彼女に紹介するの?
う〜ん。私も彼女に興味があるからなぁ……

 


「なあ、どうして俺がサッカーを始めたってわかった?」
「公二君……あのころの表情をしていたから……」
「あのころ?」


 
「楽しそうにサッカーをしていたあのころの表情……私があなたに憧れていたあのころの……」


 
「え?最後がよく聞こえなかったけど?」
「い、いや、なんでもないよ!そ、それじゃあ!」
「ああ、それじゃあ……」
 
あ、彼女、帰っちゃった……
公二君も帰っちゃった……
 
公二君、彼女の最後の台詞を聞き逃したみたいだけど、私は聞いちゃったよ……
彼女、絶対に公二君が好きなんだ……
え〜ん!サッカーと恋のライバルが現れちゃったよ〜!
どうしよう……

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後書き 兼 言い訳
これは私が書いた初めての一人称の文章です。
いや〜、難しかった!
女性の語り言葉で書くのはなんか照れくさいものがあります。
 
第4話にして、やっと新キャラが現れました。でも名前はまだわからずじまい。
いったい誰でしょう?想像はつくとは思いますが……
あ、ちなみに彼女の台詞の色は今回は適当ですから。
サッカーで世界征服を目指そうとは考えていませんから(笑

次回は光とその彼女が対面します。