第20話目次第22話
公二と光が親子3人での夏休みを満喫しているとき、ひびきのでは違った夏休みを満喫している人たちがいた。


チリリ〜ンチリリ〜ン


「ふうっ……風鈴の音は涼しさを感じさせてくれて、いいわねぇ」


ここはひびきの合宿所。ひびきの市にある、合宿専用施設である。あの伊集院家が総力を掛けて造っただけに超豪華施設である。日本代表の強化合宿や、国際会議にも使われている超一流の施設である。
そして今週は、そんな施設を一週間独占的に借り切ってのひびきの高校大合宿ウィークである。

太陽の恵み、光の恵

第5部 合宿大騒動編 前編

Written by B
ここで、意外に知られていない施設をざっと紹介しよう。

野外運動場は全天候型。野球場、ソフトボール場、サッカー場、ラグビー場、アメフト場は総天然芝等の一流の設備。テニスコートはプロの4大大会のコートをそのまま再現できるようになっている。陸上トラックも最新の設備、測定機器が揃っている。ゴルフはプロでも高難易度のゴルフコースが隣接されており、そこを利用する。

どれもこれも国際大会が開催できるほどの施設、機器がそろっている。実際に国際大会も開かれることもある。ちなみに、ゲートボール、ビーチバレー、ビーチサッカー、カバディなどの競技が行える総合競技場ももちろんある。

屋内運動場は当然冷暖房完備である。さらに大会対策にどんな気候環境にでも変えることができるまさに大会練習向けの施設。バレー、バスケット専用体育館はもちろん国際大会仕様。卓球、バドミントン等にも専用の施設がある。体操、新体操には体操専用体育館がある。

プールも大会対策に温度変更が可能。しかも競泳用、シンクロ用、高飛び込み用と娯楽用の4つある。トレーニング設備は国内有数の設備で日本の最先端のスポーツ医学の成果が結集している。

格闘技ではレスリング、ボクシング、相撲、剣道、柔道、空手、少林寺拳法、ムエタイ、サンボ、K−1、グレーシー柔術等どんな格闘技にも対応できる格闘技練習所と総合格闘技競技もかなりの広さがある。もちろんプロレスリングもある、おまけにデスマッチ用の電流、地雷、有刺鉄線、毒サソリが常備してある。

文化系施設も超豪華。吹奏楽、管弦楽、雅楽、歌舞伎、狂言、バレエ、合唱、演劇、軽音楽それぞれに適した最高の環境を作り出せるホールがいくつもある。さらにはどんな科学実験も行える超巨大実験棟。どんな計算も瞬時にできる最先端のスーパーコンピュータ。茶道、華道、将棋、囲碁それぞれ専用の和室。国立図書館もびっくりの在庫を誇る図書館。もちろんミーティング用の会議室も大小何十室も用意されている。

宿泊施設はとにかくすごい。何日も行われる大会に備えるために用意された1000人は軽く泊まることができる巨大宿泊村なのだ。ここには、普通に生活するための物、施設、店はすべてそろっている。ひびきの高校の全ての部が同じ日程で合宿を組めることができるのはこのためである。






ところで、ひびきの高校の全ての部が同じ日程を組むのにはもう一つ理由がある。 それは「合宿で他の部活との交流もまた青春じゃあ!」との校長の方針のためである。 よって全ての部活も夜間練習は禁止、他の部活との交流が義務づけられている。
新しい恋を見つけるのも自由。友情を深め合うのも自由。合宿を舞台にした小さなドラマがそこにはある。
ここの合宿が目当てでひびきの高校を目指す人もいると言われている。 まさに、ひびきの高校名物の大合宿である。






「合宿っていいわね……」


ということで、琴子の所属する茶道部も専用和室で活動をしているわけである。茶道部は今は1時間ほど休憩中。琴子は部室内でちゃぶ台を前にして冷たい麦茶を飲んでいた。しかし琴子は何故か不機嫌そうだ。


「……って、なんであんたがここにいるの!」

「えっ?別にいいだろ?」


原因は琴子の隣で座って一緒に麦茶を飲んでいる匠だった。先ほど急にやってきて居座っている。


「よくないわよ!あんた帰宅部でしょ!」

「ああ、でも帰宅部名義で合宿申請したらあっさり認められたよ」


そう、帰宅部でも合宿に参加できることを知った匠は一人で合宿申請していたのだ。ようするにタダで合宿所に泊まりに来ていることになる。


「まったく、ホテルじゃないんだから……でなにが目的で合宿所に来たのよ!」

「もちろん、夜の交流会だよ……いろんな女の子と仲良くなるには絶好の機会だね」

「じゃあ昼間はどうしているのですか?」

「み、美帆ちゃん!いつのまに……」


匠が隣を見ると、美帆がいつの間にか座っていて麦茶を飲んでいた。


「今、休憩中なので様子を見に来たのですが……で、昼間は何を?」

「昼間はいろんな部活を見てまわって情報収集だけど……」


琴子の表情が険しくなる。琴子には匠の考えていることが読めている。


「やっぱり、女の子の体を見てスリーサイズのチェックでしょ?」

「そ、そんなことするわけないだろ……そもそも、知らないし……」

「じゃあ、私のスリーサイズは?」

「え〜と、86・58・84っと、あっ!」


スパーン!


琴子の必殺平手打ちが匠に炸裂した。

「この助平男!変態!軟弱男!何で知ってるのよ!しかも、即座に数字が出てきたわね!」

「いててて……そ、それは企業秘密で……」


鬼の形相の琴子。ぶたれた頬を抑えながら怯える匠。和室の雰囲気が一気に悪くなる。






「許さないわ!ねえ、白雪さん。助平男を懲らしめ……あれ?白雪さんは?」


琴子は匠の隣にいたはずの美帆がいないことに気が付いた。


「あ、あそこ………」


怯えながらも匠は和室の隅を指さす。和室の隅では、美帆が畳にのの字をかいていじけていていた。


「妖精さん。水無月さんってひどいのよ!」

「えっ?」

「さりげなくナイスバディを自慢して私をいじめるのよ!」

「な、なんでそうなるの……」

「どうせ私は胸ペチャの尻ペチャですよ……」

(あ〜あ、たしか美帆ちゃんって、78・55・79だもんな〜、いじけるのも無理ないなぁ……)


何故か美帆の怒りは匠ではなく琴子の方に向いていた。






「これは水無月さんに制裁を加えないといけませんよね、妖精さん♪」


美帆は笑顔で宙に向かって話しかける。琴子は美帆の笑顔に殺気を感じ取った。殺気の怒りはどこへやら、匠に助けを求めてしまう。


「げっ!まずいわ!こら匠!なんとかしなさいよ!」

「ぼ、僕は関係ないよ……じゃあまたねぇ〜」

「こ、こら逃げるな!」


しかし、匠は脱兎の如く茶道部室から逃げてしまった。部室に残されたのは琴子と美帆のふたりっきり。美帆は琴子に向かってにっこりと微笑む。


「妖精さん。水無月さんを『あの刑』にしてあげましょうね♪」

「や、やめて……きゃぁぁぁぁーーー!」


それから数分間、茶道部室周辺には琴子の悲鳴が聞こえたという。






その日の夕方。再び茶道専用和室。すでに今日の部活は終わっている。しかしそこには3人の人影があった。


「ぐすんぐすん……」

「ごめんなさい、水無月さん。あのときはついかぁ〜っとなってしまって……」


琴子はちゃぶ台に伏せて泣いている。その隣で美帆が申し訳なさそうな顔をして謝っている。


「ぐすん……ひどいわ!演劇部に連れられて、あんな姿にするなんて!」

「いや、あの、そのぉ……」

「おまけに運動施設のド真ん中に飛ばすなんて!……ぐすん」

「いくらなんでも、あれはひどいとおもうな、美帆ちゃん」


匠も呆れて美帆を見ている。美帆は平身低頭謝っているだけ。


「とっても、恥ずかしかったんだから!……ぐすんぐすん」

「……ごめんなさい」

「まあ、運よく誰にも見つからなかったからいいじゃない、許してあげなよ」

「うん、許してあげるわ……ぐすん」


水無月さんは妖精さんにどんな格好にさせられたのでしょうか?ここは彼女の名誉のために書くのはやめましょう。






匠は琴子のあまりの様子に「つい魔が差して」ある提案をしてしまった。


「水無月さん。久しぶりに3人で飲まない?飲んで今日のことを忘れよう!」

「……そうね、今日はなんか飲みたい気分」

「あれ?夜のナンパはいいんですか?」

「1日ぐらいいいよ。友達と楽しくやるのもいいだろ?」

「ありがとう、匠。でも、3人だけっていうのもつまらないわねぇ」

「でも、いきなり他のところへ行って酒飲もうとは言えないからなぁ……」


2人が思案にくれていると美帆が話に割って入る。


「……を誘ったらどうでしょうか?」

「いいわね、でもどうやって?」

「僕にいい考えがあるよ……ごにょごにょ……とまあ、こんなかんじだけど」

「そ、それやるの?……べ、別にいいけど」


匠にとっては名案だったらしい。






それから1時間後。
茶道部室に一人の女の子がやってきた。


「こんにちは〜、響野食堂です!出前を持ってきました〜って、水無月さん!」

「あら?一文字さん!ひさしぶりねぇ」


やってきたのは茜だった。茜は待っていた琴子を見て驚いていた。どうやら琴子が頼んだとは夢にも思わなかったらしい。


「水無月さん合宿中なんだ……いいなぁ、ボクは帰宅部だから合宿行けないんだぁ……」

「あら、帰宅部でも合宿にきている助平男がいるのよ」

「だからその言い方やめろって!あ、茜ちゃん。例の物は持ってきてくれた?」

「うん。まさか水無月さんの出前だとは思わなかったから……大丈夫なの?」

「大丈夫よ。お店でもわかるでしょ?」

(ボク、全然思わなかったけどなぁ……)


そういいつつ茜が持ってきたのは、日本酒の一升瓶が18本、銘酒「美少年」である。 酒のラベルをみた美帆は何か気づいたようで、宙に向かって話しかける。


「『美少年』……妖精さん。水無月さんってショタコンなのよ……」

「?」

「あのナイスバディで純粋な小学生を毒牙にかけているのよ……不謹慎なのよ、水無月さんは」

「美帆!それはお酒の名前で、私はショタコンじゃないの!」

「美帆ちゃんって、意外と根にもつタイプなんだ……」

「じ、じゃあ、明日お皿を取りにくるから!またねぇ〜」


茜はおもいっきり不安を抱えながら帰っていった。






ちゃぶ台の上にはお酒のグラスとおつまみがいくつか。すでに準備万端である。


「水無月さん。あいつはさっき呼んだから、先に飲もうよ」

「私も彼女に連絡しておきましたら」

「ではさっそく……」

「「かんぱ〜い!」」


3人は基本的に日本酒しか飲まない。ビールは琴子が「日本産のビールなんて西洋かぶれは駄目!」と拒否するので飲んだことはない。






それから10分後。茶道部室に純一郎がやってきた。どうやら匠に呼ばれたらしい。3人の愚行を全く知らない純一郎は茶道部室の中に入って仰天する。


「お〜い、匠。来たけどなんの用だ?……おい、おまえら!何なっているんだ?」

「……我が友が……遊びに来たわけで……」

「おまえ、酒飲んでいるだろ!」

「いいじゃな〜い!と〜っても気分がいいんだも〜ん!」


3人はすっかり出来上がっていた。驚いている純一郎の側にはいつの間にか琴子がいた。


「し、白雪さんまで……」

「おほほほほ!あら〜、穂刈くん。いつもかっこいいわね!」

「み、水無月さん!ちょっと何を……」


琴子は純一郎に抱きついてきた。






琴子は普段あげないような色っぽい声で純一郎の耳元でささやく。


「ねぇ〜。私とオトナの遊びをしてみない?」

「お、お、おとなのあそび……」


色っぽい声を聞いた純一郎は硬直してしまう。


「わたくし、貴方とだったらいいですのよ?一緒にお・と・なをタ・イ・ケ・ンしない?」

「お、おおおおおお……」


大胆な台詞に純一郎はまともに返事もできなくなっていた。


「一緒に楽しみましょ!えいっ!」


それを見た琴子は突然純一郎の口に一升瓶を押し込んで、無理矢理お酒を飲ませた。


「うわっ、ぐぼぼぼぼぼ……」


初めてのお酒を一気に大量に飲んだ純一郎は気を失ってしまった。


「おほほほ!目が覚めたときが楽しみですのよ!」






さらに5分後。


ドカン!バッコン!ドカン!ボカン!


遠くから紫の物体が建物の壁から壁と跳ね返っている。そしてその物体は茶道部室の建物の前で止まる。


「いてて……建物をピンボールみたいにはじかれちゃった。でも着いたからいいや……」

「なんで美帆ぴょん、茶道部和室にいるんだろう?」

「しかもなんか不幸が起こる予感だけど……まあいいや〜」


紫の物体だと思われたのは一人の女の子だった。その子は、夏休み前今日琴子が受けた「あの刑」を受けた寿 美幸である。






寿 美幸。1年C組
美帆の中学からの友達。テニス部に所属している。持って生まれたその超不幸ぶりで高校で有名人。ダンプカーに轢かれるのは日常茶飯事。倒れそうもない物体が襲いかかるのも毎日の習慣。その不幸ぶりは高校に入ってひどくなっているそうだ、何か別の理由があるらしい。
超音波ボイスと紫のロングヘア、個性的なファッションが印象的。






美幸は思いっきり茶道部室の扉を開ける。


がらがらっ


「やっほ〜!美帆ぴょ〜ん!来たよ〜ってあれ?」

「やだ〜、美幸ちゃんじゃな〜い!なんか遅いって感じ〜」

「み、美帆ぴょん、なんか変だよ〜?」

「……女の子は……苦手なわけで……」

「坂城くん、ど、どうしたの〜?」


美幸はいつもと違う様子にかなり戸惑っている。そんな美幸に琴子が抱きついてきた。


「おほほほ!美幸ちゃん、相変わらず可愛いわ〜」

「み、みんな変だよ〜!ちょっと、水無月さ〜ん、抱きつかないで〜」

「前から思っていたけど、美幸ちゃんって、食べちゃいたいぐらい可愛いわ〜」

「み、美幸はそんな趣味ないよ〜。助けて、美帆ぴょ〜ん!」


琴子の態度に身の危険を感じた美幸は周りに助けを求める。


「うわ〜、ラブラブ〜、すっご〜い!さいこ〜!」

「……ここには……水無月さんと美幸さんが……愛をはぐくんでるわけで……」


しかし酔っぱらっている二人は答えてくれるわけがない。


「ねぇ、美幸ちゃん。可愛い唇を見せて……」

「や、やめて〜。キスだけはやめて〜」

「えいっ!」


琴子は美幸の口に一升瓶を突っ込み無理矢理酒を飲ませた。


「はにゃ?ぐぼぼぼぼぼ……」


案の定、大量の酒を飲んだ美幸は倒れてしまった。


「おほほほ!目が覚めたときが楽しみですのよ!」


琴子はちゃぶだいの上に仁王立ちになり勝ちどきを上げていた。






それから10分後。酒盛りを続けていたが、純一郎の様子の変化に気付いた。


「え〜っ!穂刈が目を覚ましたの〜!おそい〜!」

「おほほほ!ついに目が覚めましたね!」

「なんか……おかしいわけで……」


純一郎がむっくりと起きあがる。起きあがった純一郎の表情は怒っているようだった。


「……こ、こらぁぁぁぁぁぁ!」

「……なんでしょうか……」

「なによ〜!そんな大声出してダサ〜」


いきなり怒鳴り声をあげる純一郎。それに驚くわけでもなく冷静に対応する匠と美帆。純一郎の怒りはまだまだ収まらない様子だ。


「なにをチビチビ飲んでいるんだ!漢の酒はこうだ!」


目が覚めた純一郎は急に一升瓶をラッパ飲みし始めた。


「ぷはぁ……どうだ!漢は豪快に飲むんじゃ!」

「……純は……飲むと……超硬派になるわけで……」

「穂刈くん、うるさいですのよ!」

「女は黙れ!」


べちっ!


純一郎は琴子をぶった。


「きゃぁぁ!」

「やだ〜、女に平手打ちなんてサイテー!」

「俺は漢だぁ!女の言うことにいちいち聞く必要はなぁ〜い!」


女の子の非難も今の純一郎は聞く耳を持たない。殴って当然、というような顔をしている。


「ひどい!あの男をこらしめなさい!」

「はい……」

「はい!水無月さん!」


匠と美帆が純一郎を抑えようとするが、しょせん運動が苦手な2人。 あっさりと跳ね返されてしまった。






跳ね返した純一郎は誇らしげに仁王立ちする。


「俺に刃向かうとは10年早い!」

「……男とはこうありたいもので……」

「もう、馬鹿みたいな力、ひど〜い!」


只今茶道部室は純一郎の独壇場。そんな感じになっている。色々言いたいが何も文句が言えない状態になっている。そんななか、純一郎が匠に向かってどなりつけ始めた。


「こら匠!」

「?」

「おまえのその腐った根性をたたき直してやる!来い、特訓だ!」

「……なぜ私が……訳もわからず……助けてほしい訳で……」


純一郎は匠をつれて部屋を飛び出してしまった。






純一郎と匠を静かに見送った琴子と美帆はまた飲み始めた。


「やっと行ったよ〜、もう疲れちゃった〜」

「おほほほ!あんな男消えてせいせいしたわ!」

「え〜っ、今度は美幸ちゃんなの〜?もうめんどくさ〜い!」


今度は美幸が動き始めた。どうやら意識がもどったらしい。


「あ、あれ?僕、どうしちゃんだろ?」

「あれ〜?普通に話してる〜、美帆、超びっくり〜!」


起きあがった美幸の様子がおかしい。眼がきりりとしていて、話し方も一般の人とおなじかんじになっていた。


「どうしたんだい?美帆、話し方が明るいじゃないか」

「目がキリリってしていて、おとこらしいわね」

「ば、馬鹿。照れるじゃないか……」


美幸は頬をぽりぽりかきながら、顔はうつむき加減で照れている。普段の美幸はこんな照れ方は絶対にしない。


「うわ〜、かっこいい!サイコー!」

「美帆、君だってかわいいじゃないか?」

「えっ、超うれしい♪」

「僕は君の笑顔に吸い込まれそうだ。こんな気持ちはじめてだよ」

「そんな〜、はずかし〜♪」

「ほ、本気で白雪さんを口説いているわ、おもしろいわね」


美幸の目は真剣だった。美幸の台詞も真剣そのものだった。






美幸と美帆の会話?はそれから少し続いていたが。


「美帆。よかったら星空の下で愛を語らないか?」

「じゃあレッツゴー!」

「では行こうか、美帆」


美幸は美帆を連れて外にでていってしまった。二人の腕は組んだ状態だった。


「白雪さん。本当に口説かれちゃったわ……」


意外な展開に琴子は呆れるしかなかった。






和室には琴子一人が残されていた。


「まったく……こんな美人を放っておくなんて、みんな非常識よ!」

「しかたないわね、独りで飲むわ……」


琴子はちびちびと一人で酒を飲み始めた。
しかし、琴子は気がつかなかった。もうすぐここに笑顔が似合う悪魔がやってくることを……
To be continued
後書き 兼 言い訳
第5部は単純明快御馬鹿酔いどれストーリーです。

さいしょの合宿所ですが、ただ書いてみたかっただけです(こら
全部部活が一緒にできる合宿所ってどんなのだろうと想像した結果がこれです。
伊集院家がらみでしょうから、おもいっきりオーバーにしてみました。
 
酔いどれメンバーに新しい仲間が二人も加わりました。
どちらもあまりにひどい変貌振り(^^;)
こいつら本当に高校生か?

後編はあの人が大暴走します。
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