第50話目次第52話
明日はみんなでお昼を食べようと約束した夜。
美帆の部屋では、美帆と妹の真帆が今日の出来事で話をしていた。

「それで今日は恵ちゃんがね……」

(最近、姉さんと話すようになったんだよね……)

楽しそうに恵のことを話す美帆

「へぇ〜、そうなんだ」
「やっぱり子供ってかわいいですね……」
「あたしもそう思うな……」

(去年はほとんど話さなかったからな……)

それを真帆は楽しそうに聞いている。

「今日さぁ、学校の科学部室でね……」
「こ、こわいですね……」
「でしょ?うちの高校って変わってるよね〜」

(でも嬉しいな……姉さんとこういう会話ができるなんて……)

しかしその心中は話とは関係ない物だった。
たぶんその思いは美帆にわかっていないかもしれない。

「でも学校が違うと色々と違うんですね」
「そうだね、姉さんの学校もなんかおもしろそうだし」



「ねぇ……一回入れ替わってみませんか?」
「ええっ!」


「私が真帆の制服を着て、真帆が私の制服を着て学校に行くの……どうかしら?」
「そ、それはまずいんじゃ……」


美帆の突然の提案に戸惑う真帆。
美帆はそれをみてニコニコ笑う。

「うふふ……冗談ですよ」
「もう〜、驚かせないでよ〜!」

「ごめんなさいね……あっ、もうこんな時間!」
「本当だ!もう寝ないと」

「それではお休みなさい」
「うん、お休み……」

真帆は部屋から出た。
そしてそれぞれが眠りについた。

太陽の恵み、光の恵

第11部 決戦編 その4

Written by B
「姉さ〜ん。あれ?もう出かけたのかな?」

翌朝。
美帆は朝早くに学校に出かけてしまった。
それを知らない真帆は美帆の部屋に様子を見に行った。

「しかし、姉さんの部屋は綺麗だよね……あれ?」

よく見るとベッドにひびきの高校の制服が置いてある。
どうやら予備の制服らしい。

「珍しいな、姉さんだったらクローゼットにしまってあるはずなのに……」

真帆はその制服を手に持ってみる。

「ひび高の制服っておしゃれなんだよね……」

真帆はその側にあった全体を映す鏡に向かって、その制服を当ててみる。

「意外だな、私でも似合うんだ……」

すると昨日の美帆の言葉が不意によみがえってきた。

『でも学校が違うと色々と違うんですね』
『ねぇ……一回入れ替わってみませんか?』
『私が真帆の制服を着て、真帆が私の制服を着て学校に行くの……どうかしら?』

真帆はその言葉を頭から消そうとするが、どうしても消えない。
そして……

(ちょっとだけ……お昼休みぐらいは……いいよね……)

しばらくして、真帆も鞄に何かを詰め込んで学校へと出かけたのであった。



そしてお昼休み。
美帆と美幸が公二達の教室にやってきた。

「公二さん、光さん、それでは一緒にお昼にしましょうね」
「そうだな、光、さっそく行くか!」
「うん!じゃあ、恵も行くよ」
「わ〜い!」
「じゃあ、しゅっぱ〜つ!」

そのとき、美帆は校庭を見つめてニヤリとしたのには誰も気づいてなかった。



そして校門では。

(うわぁ〜、緊張する〜、バレないようにしないと……)

ひびきの高校の制服をきた真帆だった。
お昼休みの少し前に学校を抜け出し、ひびきの高校にやってきた。
髪型も美帆と同様に前で束ねる独特の髪型に変えてある。

(ではさっそく校舎のなかに……)

校舎に入ろうとしたとき、誰かに呼び止められた。

「お〜い、美帆ちゃん!」
「えっ?」
「美帆ちゃんなにやってるの?」
「えっ?私?」
「何行ってるの?美帆さんはあなただけでしょ?」
「あっ、そうだった……ですね、ハハハハ」

(あちゃ〜!見つかっちゃたよ。姉さんの友達なのかなぁ?)

いきなり見つかった真帆は焦りまくっていた。
誰だかわからないし、どうして良いのかわからない。



「ところで公二達は?」
「へっ?」

「何言ってるんだよ?公二達を呼びに行くっていったのは美帆ちゃんだろ?」
「早くしないと、みんなでお昼が食べられないでしょ?」
「げっ!そうだったの……いや、ついうっかりしてましたです……」

「じゃあ、早くしろよ〜」
「はい、ではかっとばし……急いで呼びますね」

頭にハテナマークを浮かべたままの人たちを置いて、
真帆は駆け足で校舎内に走っていった。

(あ〜あ、どうしてこんな時にきちゃったんだろ?)
(姉さんったら、変な約束なんてするから……)
(とにかくバレないようにしないと……)



校舎に入った真帆。しかし、ここからどうしたらいいかわからない。
とりあえず美帆を捜してみようとしたそのとき。
真帆は自分の方向に向かってくる人たちを発見した。

(げっ!姉さんだ!それに美幸ちゃんも、や、やばすぎる!)

焦った真帆は廊下の影に隠れる。

美帆達は真帆に気がつかないで通り抜ける。

(ほっ、助かった……)



生徒玄関に来た公二達だったが突然美帆が足を止めた。
いきなりだったので公二達は驚いてしまう。

「すいません、皆さんは先にいっていただけませんか?」
「えっ、どうして?」
「ちょっと所用があるものですから」
「うん、わかった〜、急いで来てね〜」
「せっかくの主催者なんだからね」
「はい。だから先に中庭で食べててください」

美帆は公二達を先に行かせた。



一方、難を逃れた真帆は廊下で一安心していた。

(ふっ……しかしこれからどうしよう?)

とりあえず校舎内を散策しようと思ったそのとき、


「真帆」
「ひぃぃ!ね、姉さん!」


真帆の後ろには美帆がにこにこしながら立っていた。

「なんでここに来たんですか?」
「い、いや、あの、その、ちょっとした出来心で……」
「ふ〜ん……」
「ご、ごめんなさい!もう帰りますから……」

すごすごと玄関に戻ろうとした真帆を美帆が捕まえる。

「真帆、ちょっとついてきていただけませんか?」
「ど、どこに?」
「わかってるでしょ?」
「げっ、ま、まさか……」
「わかりましたか?」

「や、やめて……妖精さんの罰でもなんでも受けるから、それだけは……」
「駄目ですよ、ついてきなさい」
「はい……」



そのころ中庭ではいまだにこない美帆を待っていた。

「美帆ちゃん遅いな」
「どうしちゃったんだろうね?」
「さっき所用があるって言ってたんだけど」
「うん、すぐに行くって言ってたよ」

みんな待ちぼうけ。
特にほむらは待ちくたびれた様子だ。

「じゃあ心配ないな、さっさとお昼にしようぜ、あたし腹へっちゃって」
「ほむらはいつもでしょ?」
「そ、それをいうな!」
「まあ、先に食べててって言ったみたいだから、少し食べましょうか」
「そうだね」

琴子の言葉でみんなが一斉に準備を始める。



そのとき花桜梨が何かを見つけたようだ。

「あれ?あれは、白雪さんじゃない?」
「あっ、本当だ、お〜い!」

匠が美帆を呼ぶ。
美帆が近づいてくる。
しかし何か様子がおかしい。

「あっ、皆さんおまちのようで……」
「おそいぞ〜」
「そ、そうですね……」



がしゃん!



突然時計台の裏で物音がした。
かなり大きな音だ。

「どうしたの?」
「ちょ、ちょ、ちょっと、待ってて!……下さい!」
「あれ?中塔の裏へ行ったぞ?」
「な、なんだ?」

美帆は慌てて裏に隠れてしまう。

(もういいですね……)
(ちょっと、姉さん変わってよ!)
(はいはい……)



「お、お待たせしました」
「美帆ちゃんどうしたの?」

再び美帆が現れた。
しかし、何かおかしい。
さっきとは雰囲気が違うようだ。

「ちょっと妖精さんがいたずらをしたようなので」
「美帆さんも大変ね」
「ええ、実はお話が……」



どかん!



またもや時計台の裏から大きな音がした。

「まただ」
「何なんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってて下さいね」

美帆はまた慌てたように時計台の裏に消えてしまった。

(姉さん、いったい何話す気なの!)
(それはね……)
(変な話されるんだったら、あたしがでるよ!)



また美帆が戻ってきた。

「お、お待たせしました」
「今度はなんだ?」
「妖精さんが、器物破損をしたようで……」
「器物破損って?」
「花壇をぶち壊……壊したようで……」
「ひどい妖精さん……」
「楓子ちゃんには言われたくないわね……」
「うぐぅ……」

ここでみんなが感じていた。
美帆の様子がおかしい。
何か別人のような雰囲気を感じていた。

「ねぇ、白雪さんなんか様子が変だよ?どうしたんだ?」
「い、いえ別に……」
「そうだな、なんかいつもの白雪じゃないぞ」
「そ、そんなこと……」
「ねぇ、なんか隠してない?」
「そんなわけが、いや、その……」

周りの追求に戸惑ってしまう美帆



がっしゃ〜ん!



そのときまたもや時計台の裏から物音がした。

「ま、また妖精さんが!ちょ、ちょっと待ってください!」
「あれ?また消えちゃったよ」
「どうしたんだろ?」

またまた美帆は裏に消えてしまった。

ここで美幸が何かに気が付いた。

「!!!美幸、様子を見てみる!」
「だったら俺たちも」
「だめ〜!美幸だけがいくから!待ってて!」

美幸も美帆を追って時計台の裏に隠れてしまった。

「あっ、美幸ちゃん……美幸ちゃんも……」
「どうなってんだ?」



時計台の裏

真帆と美帆がなにやら言い合っていた。

「ちょっと姉さん!いったいどういうつもりなの!」
「えっ?わかりませんか?」
「わからないわよ!」
「じゃあ教えてあげましょうか……」

美帆が何か言いかけたとき、後から声がした。

「あっ!」
「げっ、美幸ちゃん……」

真帆が振り向くと美幸がいた。
美幸も驚いた様子だった。

「どうも変だと思ったら……やっぱり真帆ぴょんだったんだ……」
「ごめん……」

「どうして!どうしてひび高に来たの?」
「それは……」

「真帆ぴょんが来たら、美帆ぴょんがひび高に入った意味がないじゃない!」
「………」

「真帆ぴょんは美帆ぴょんをまた苦しめるの?」
「………」
「まあまあ」

美幸はいつになく声を荒げて真帆を責め立てる。
真帆を責め立てる美幸を美帆がなだめる。



「だって……」
「とにかく、真帆の話を聞きましょう」
「うん……」

美幸は美帆になだめられてようやく落ち着きを取り戻す。
それをみて真帆は話を始める。

「昨日姉さんと話をしたときにね、『入れ替わらない?』とか言われたの」
「えっ?美帆ぴょんが?」
「うん、冗談だったけどね」
「へ〜」


「それで今朝姉さんの部屋を見たら、珍しく予備の制服がベッドにおいてあって」
「美帆ぴょんらしくないね〜」
「ちょっと出来心で触ってみたら、昨日の事が頭から離れなくて……」
「それで……」


「まさか今日みんなでお昼だなんて思わなかったから……」
「えっ?これ美帆ぴょんが提案したんだよ?」
「えっ?姉さんが?」
「うん」

真帆は驚いていた。
さすがに昼食会が美帆提案だとは思っていなかった。
たぶん誰かに誘われたものだとてっきり思っていた。



「じゃあ、最悪のタイミングだったわけ?」
「そうだよ。でも、変だよね」
「何が?」


「なんか、美帆ぴょんが真帆ぴょんに来てくれと言ってるみたい……!!!」


「そうなんだよね、思い返すと……!!!」


二人ともはっと気づく。

「もしかして……」
「姉さん……まさか……」

真帆と美幸はゆっくりと美帆の方を向く。
美帆は微笑んだままだった。

「やっと気づかれましたか?」
「じゃあ、わざと真帆ぴょんを学校に……」
「どうして……」



「真帆を友達に紹介しようと思いまして」
「!!!」
「!!!」


美帆の言葉に真帆と美幸が驚いた。
そして慌てて美帆に説得する。

「ちょっと!姉さん本気なの?」
「そうだよ、それじゃあ中学の頃に逆戻りじゃあ!」
「今からでも遅くないよ!辞めた方が!」
「うん!美幸もそう思う」



しかし美帆は二人をまっすぐに見つめて話し出す。

「美幸ちゃん、昨日話しましたね」
「えっ?」

「私、やっと自分に自信が持てるようになったんです」
「美帆ぴょん……」

「真帆が側にいても、私は白雪美帆。他の誰でもない白雪美帆。そう言えるようになったんです」
「姉さん……」

「だからもう真帆が隣にいても自分に自信が持てるんです」
「……」

「真帆、美幸ちゃん。今まで迷惑かけてごめんなさい……もう大丈夫です」
「姉さん……」

真帆は美帆を見つめ返す。
二人はお互いに見つめ合う。

二人の心の中に暖かいものが湧きあがってくるのを感じしていた。

「真帆。じゃあ皆さんに紹介するから一緒に来てください……」
「うん……」
「じゃあ、美幸は先に行ってるね!」
「お願いしますね」

美幸は先に中庭に戻っていった。

「姉さん」
「なんですか?」
「ありがとう……姉さん」
「はい……」



そして中庭。
美幸が先に戻ってきた。

「お待たせ〜」
「おいおい、なにやってたんだ?」
「ごめんごめん」

「早くしないと、飯食べおわっちまうぞ」
「ほむらは食べ過ぎだよ!」
「………」

みんな食事に戻ろうとするところを美幸が止めた。

「あのね〜、美帆ぴょんが話があるって!」
「なんだ、話って?」
「まあ見ててよ。お〜い、美帆ぴょ〜ん!いいよ〜!」

そして美帆がゆっくりと現れた。



「美帆ちゃん、なんだい、話って?」
「妖精さんが一向一揆でも起こしたの?」
「ち、違うんです!」
「じゃあな〜に?」
「あ、あの、これから何があってもびっくりしないでくだいね」
「ああいいよ」

美帆の言葉に対して、みんな平然とした様子だった。

(美幸、それは無理だと思うな……)

しかし美幸だけは、その後のリアクションがなんとなく想像できていた。



「じゃあ、来てください」
「………」

そしてもう一人公二達の前に現れる。
その姿をみて一同唖然とする。

「えっ?」
「な、なんだ?」
「お、おい……」
「ほ、ほんまか……」



「「「「「「「「美帆ちゃんがふたり〜!」」」」」」」」



「私たち双子なんです!」
「私たち双子なんです!」



「「「「「「「「え〜〜〜〜〜っ!」」」」」」」」



そう、実は美帆と真帆は双子だったのだ。


「私が姉の美帆で」
「私が妹の真帆」


顔かたちがまったく同じ。
一瞬だけではどちらがどちらかわからない。

かろうじて二人のリボンの結び方が違っているのでそれで区別できる。
ちなみに美帆がリボンをネクタイみたいに結び、真帆は蝶のようにリボンを結んでいた。

「双子だったのか……」
「し、知らなかった……」
「お、俺の情報にもそんなのはなかったぞ……」
「一瞬乱視かと思った……」
「ゲームのやりすぎで幻覚が見えたかと思ったぞ」
「私も妖精さんが見えたかと思った……」
「ごめんなさい、今まで黙っていて……」

まだ一同唖然としていた。



ようやく我に返ったほむらが二人に質問する。

「なあ、なんで今頃紹介したんだ?」
「………」
「どうしたの白雪さん?」

ほむらの質問に美帆は黙ってしまった。
そこですかさず真帆が答える。

「あのね、姉さんにもいろいろあって、紹介するのが遅れただけなんだよね」
「え、ええ……」

「そ、そう、紹介するタイミングがなかっただけ。そうだよね、姉さん?」
「そ、そうなんです……」

「だから気にしなくていいの」
「そういうことか!わかったわかった!」

真帆の説明にほむらは納得したようだ。

(真帆……ありがとう)
(姉さん……いいっていいって)

美帆は真帆の耳元でお礼を言っていた。



「じゃ、改めて楽しくお昼にしますか」
「そうですね」
「あ〜あ、お腹空いちゃった!」

こうしてやっとお昼が始まった。

「へぇ〜、真帆さんってきらめき高校に通ってるんだ」
「姉妹で別々なんだ」
「そう、姉さんと別々だけど、向こうも楽しいよ」
「じゃあ、今度はきらめきの女の子を紹介……いてっ!」
「妖精さんにひどい目に遭いたいですか?」
「え、遠慮しときます……」
「匠、節操がないぞ……」


「どうしたの花桜梨さん?」
「こうしてみんなで食べるのって楽しいなって……」
「花桜梨さんはこんなに友達がたくさんいるってことだよ」
「そうね、私にはこんな素敵な友達がいるんだよね……」


「あれ?恵、どうしたん?」
「?????」
「なんか困ったような顔しているぞ」
「?????」
「美帆さん達をみて混乱してるのよ」
「あっそうか!双子なんて初めてだからね」
「同じ顔が2つあるからびっくりしてるんだよ」
「?????」
「なんか困っためぐみんもかわいいな〜!」


「しかし、青空の下で食べる飯って、格段にうまいなぁ!」
「ほむらはいつどこで食べてもうまいうまいって言ってるよ」
「……それをいうな……」


「初めまして。白雪真帆です」
「こちらこそ初めまして」
「主人さんと陽ノ下さんと恵ちゃんだっけ?」
「えっ、なんでうちらの名前を?」
「姉さんが最近あなたたちの事ばっかり話すの」
「そうだったんだ」
「それで、一回恵ちゃんに逢ってみたいと思ってさ……」
「それで今日は学校に……」
「まさかこんなことにはなるとは思わなかったけどね」


「もしかして美幸ちゃんは双子だって知ってたの?」
「うん!だって美帆ぴょん、真帆ぴょんとは中学から一緒だよ〜」
「そうやったのか〜。じゃあ、うちらが驚いたとき」
「うん!自分だけ知ってるのって楽しいね〜!」
「あはははは……」


こうして、お昼の時間はとても楽しく過ぎていった。



そしてお昼休み修了直前。
校門前には3人の少女が立っていた。

「それではまた家でお話しましょうね」
「うん、姉さん」
「ええ、楽しみにしてますよ」

きらめき高校の制服に戻った真帆、そして美帆と美幸だった。

「姉さん、なんか嬉しそうだけど」
「ええ、なんか今日はとってもいい気分です」
「妖精さんも?」
「ええ、そうだと思いますよ」
「ふ〜ん、わかった。じゃあ、またね!」
「うん!またね〜」

こうして真帆はきらめき高校に戻っていった。

結局、あのとき真帆がひびきの高校に侵入していたことはお昼を過ごした人たち以外は誰も気がつかなかったようだ。



その夜。
美帆と真帆は美帆の部屋にいた。

「真帆、今まで迷惑かけてしまいましたね……」
「ううん、私こそ何もできなくて……」

お互いに謝る二人。
そして不意に真帆が美帆に抱きつく。

「姉さん、やっと元の姉妹に戻れたんだよね……」

「そうですね……」

「また一緒に遊ぼうね、一緒に買い物しようね……」

「うん、一緒に出かけましょうね……」

「ありがとう、姉さん……」

抱きついている真帆の方には光る物が流れているようだった。

しばし抱き合ったあと、真帆は美帆の体から離れる。
二人は元の表情に戻って話しを続ける。

「真帆は、ひびきの高校はどうでしたか?」
「きらめきも変わってるけど、こっちも変わってるね、っていうか姉さんの周りはおもしろい人ばっかり」

「そうですか?」
「ある意味姉さんも変わってるけどね」

「妖精さん……真帆を恥ずかしい目に……」
「ご、ごめん、姉さん……」

美帆と真帆は高校に入ってから一番楽しい姉妹の会話をしていたのであった。
To be continued
後書き 兼 言い訳
やっと真帆が正式登場です。
どう登場させようか悩みましたが、結局こんな感じになりました。

この姉妹を詳しく語る場合どうしても避けられない部分があります。
それは「どうして姉妹別々の高校なのか?」という疑問です。

いろいろな答えがありますが、この話の場合の答えは用意してます。
もちろんしばらく後で語られると思います。

今回の登場劇はそこの部分が大いに影響しています。
これを読んでいただければ、なんとなく前述の疑問の答えが浮かんでくると思います。


今回初めて同学年キャラ12人がそろい踏みしました。
(公二、光、匠、琴子、純一郎、美帆、美幸、茜、花桜梨、楓子、ほむら、真帆)
これに恵を含めた登場13人は最多タイ。
いやあ、台詞の振り分けが大変でした。
人数の増やしすぎはよくないですな。
でも当分こんな状態が続く(汗

次回は話が本線に戻ります。
久しぶりに酔いどれでもいれようかな?
それも誰かが新しく酔っぱらったりして。
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