第64話目次第66話
陽気も暖かくなり、服装も春らしいものに変わりつつある3月中ごろ。

今日の公二と光は二人でお買い物。

でもひびきの駅前広場には公二が一人きり。
光は後からやってくる。

「せっかくだから、待ち合わせなんてやってみたいな」

という光のお願いから、わざわざ別の時間に家を出て待ち合わせをすることにしたのだ。


(そうだな、デートなんてやってないから待ち合わせなんてしたことなかったな)

そう考えると、光がやってくるのを待つのもちょっとドキドキしてきた。

でも約束の時間まであと20分。
別にやることもないので公二は広場を歩き回ってみることにする。


歩いていると公二の横にティッシュ配りの人がいた。

「よろしくお願いしま〜す、よろしくお願いしま〜す」

ティッシュ配りの人はそう声を掛けてティッシュを配る。
何の躊躇もなくティッシュをもらう公二。
そしてなりげなくティッシュ配りの人を見る。
ティッシュ配りの人も公二のほうを見たために目が合う。

どこかで見たような顔。
お互いすぐに思い出す。


「あっ、ま、舞佳さん!」

「……えっ、あっ!少年!」

太陽の恵み、光の恵

第14部 春休み温泉編 その1

Written by B
ティッシュ配りのお姉さんは、北海道にいたときにバイトの世話をしてもらった九段下舞佳であった。
約1年半ぶりの再会である。
嬉しくて二人とも思わず声をあげて喜んでしまう。

「お、おひさしぶりです!」
「久しぶり〜!」

深々と頭を下げる公二に対して、舞佳は軽く手を振って挨拶する。

「僕のことをちゃんと憶えててくれてたんですね」
「あったりまえよん。こう見えても私、記憶力抜群なのよん♪」
(その割には、バイトの時いろいろ忘れてたような……)

側で舞佳の失敗を何度も見ている公二だが、それを突っ込んでもまともに対処してくれないので言わないことにした。



「ところで、少年もひびきのに住んでるの?」
「はい、去年の4月にひびきのに戻ってきたんです。それよりも舞佳さんはどうして?」
「どうしてって、私はひびきの出身だけど」
「ええっ!」

思わぬつながりに驚く公二。
その驚きに不思議がる舞佳。

「あれ?言わなかったっけ?」
「いいませんでしたよ」
「あらそうだっけ?まあいいじゃない、今わかったんだから」
「はぁ……」

さらりと流してしまう舞佳。
明るい調子の舞佳に押されっぱなしの公二だった。



「いやあ、少年とまた逢えるなんてお姉さんは嬉しいねぇ〜」

舞佳は公二の姿ををしげしげとなにか懐かしそうに眺めている。
一方公二はなぜか少しだけ不満そうな顔をしている。

「あの〜、舞佳さん、『少年』ってやめてくれませんか……」

その言葉に舞佳ははっと何か思い出したようだ。

「あっ、ごめんごめん!少年はこういう言い方って嫌いだったよね?」
「嫌いってほどでもないけど……」

舞佳は昔から公二の事を「少年」と呼んでいた。
ただ公二としては、この呼び方が好きではなかった。
妻子ある身として大人と同様に生きなければならないと思ったから、この呼び方に抵抗があった。

何度か舞佳に言い方を変えてもらうように頼んだのだが、

「そんな呼び方ひとつに肩肘張らなくてもいいの!」

と言って、舞佳は「少年」と呼び続けたため、
公二があきらめてしまった経緯がある。



不満な顔の公二を見て、ほんの少しだけ腕組みをして考える舞佳。
そしてすぐに公二の方をポンと叩く。

「じゃあ、これからはお姉さんが『主人君』って呼んであげよう!」
「えっ?」

いきなり方針転換されて驚く公二。
そんな驚いて何も反応がない公二を見て舞佳の方がすこし不満そうだ。

「あれ〜、嬉しくないの?」
「はぁ……嬉しいです……」

公二は嬉しいのは確かなのだが、いきなり言われてどうしていいかわからなかったのだ。
それでも何とか嬉しいことを伝えると舞佳は喜んだ。

「そうかそうか、よかったよかった」
「はぁ……」

腕組みをしてうんうんうなずく舞佳。
やっぱり押されっぱなしの公二だった。



そんな会話をしているうちに時計を見るともう約束の時間になっていた。

「あっ、もう時間だ!それじゃあ舞佳さん、お元気で!」
「あっ、ちょ、ちょっと少年!」

舞佳の声も無視して光の待つところに向かっていった。

「まったく、折角少年いや主人君にサービスしようと思ったのに……ようし……」

取り残された舞佳も公二の後をついていくことにした。



そして公二は駅前公園に一人で待っている光を見つけた。

「ごめん、ごめん遅れちゃって……」
「………」
「光?」

よくみると光の表情は明らかに怒っている顔だった。
光は上目遣いで公二に問いかける。



「ねぇ……さっきあなたが話してたの……誰?」
「げっ……」



どうやら公二が舞佳と話しているのを見られたらしい。
思わず反応してしまう公二。
別に悪いことはしているわけではないが、何も言わないわけにはいかないので正直に話す。

「あ、あの人は北海道にいたときにバイトの世話をしてくれた人なんだよ」
「そう……綺麗な人だったよね……」
「お、おい、光……」

光の目は完全に据わってる。
どうやら信用していないらしい。
公二が浮気していると誤解してしまっている。



「お〜い!主人く〜ん!」

完全に緊迫状態のところに舞佳の声がかかる。

「ま、舞佳さん……」
「まったく、お姉さんがサービスしようと思ったのに……」

驚く公二。
怒りの表情が徐々に表に現れ始める光。
そんなことには気づかない舞佳はニコニコ顔のまま。



「私帰る!」



そして、とうとう光はキレてしまった。

「ちょっと待てよ光!」
「なによ!浮気なんてして!」

「だから違うって!」
「じゃあなんなのよ!」

帰ろうとする光。それを抑えている公二。
押し問答が続く。



さすがにヤバイ状況を把握した舞佳が止めに入る。



「ねぇ、私は主人君と浮気なんてするつもりなんてないわよ、奥さん!」



舞佳の一言が光の暴走をストップさせた。
驚いたままの顔で舞佳を見る。

「えっ、奥さんって……」
「あれ?奥さんじゃないの?」

「どうして私のことを……」
「だから、舞佳さんは俺が妻子持ちだって知ってるの!」
「あ、そうなんだ……ごめんね」

怒りと驚きの顔がみるみる元の顔に戻る。
どうやら誤解は解けたらしい。
誤解が解けてほっとする公二だった。



ようやく状況が落ち着いたところで舞佳は光に話しかける。

「これも何かの縁だし、奥さんにも私の名前を教えてあげよう!」
「へっ?」


「心して聞くのよ。私の名前は九段下舞佳。二十歳で独身。スリーサイズは89・56・86!」


モデルがとるようなポーズを決めてさりげなくナイスバディを披露する舞佳。
いきなりの自己紹介に唖然とする二人。

「えっ?」
「なんでスリーサイズ……」

そんな二人があまり反応がなかったのが舞佳は少し不満そうだった。

「え〜、楽しみにしてたんじゃないの?最初に会ったときに聞きたかったみたいだけど」
「光がいるのに、そんなこと聞くわけないでしょ!」

舞佳の一言は冗談なのだが、とても冗談に聞こえるわけがなく、公二がすかさず否定する。

「あっ、そういえばそうね、だって可愛い奥さんがいるんだもんね」
「はぁ……」

舞佳のテンションの高い会話に光もついていくのが精一杯の様子。



何も返事できない二人に対して舞佳は並んでいる二人の姿を見て一言。

「しかし夫婦水入らずでデートか……う〜ん、青春してるねぇ〜。結構結構」

舞佳の言葉に顔を真っ赤にしてうつむいてしまうご両人。

「そ、そんなんじゃ……」
「恵は今日は買い物の量が多いから家にいるだけなの……」

今日は買物量が多いので恵は家に置いてきた。
恵が一緒になると、恵の世話で思うような買い物ができなくなるからだ。

「いいから、わかってるって……じゃ、ハイ、スペシャルサービス!」

二人の言っているのを聞いてるのか聞いてないのか、
舞佳はそう言って段ボール箱を二人に渡す。

「えっ、何これ?」
「何って、ティッシュだけど?君達には特別に一山プレゼント!何かと役に立つでしょ?」
「や、役に立つって……」

いきなり段ボール箱を持たされて公二と光は戸惑っている。

「娘さんがよく物をこぼす時期だから、拭く物が必要でしょ?」
「そ、そうだよね……」
「あ、ありがとう……」

なにはともあれ、とりあえずお礼をいう二人。



「あと、ついでに商店街の福引券5枚もつけちゃおう!」

そんな二人に舞佳は何枚かの紙切れを渡す。
よく見ると商店街の福引き券だった。

「えっ、なんで舞佳さんが?」
「ちょっと買い物したらくれたの。でも別にあたしはいらないからあげるわよ」
「そ、そんなにしてくれなくても……」

さらなるプレゼントをもらってまた戸惑っている光。
初対面の人にこれだけプレゼントをされれば戸惑うのは当然だろう。

「いいっていいって、気にしないで。それよりデートしっかり楽しんで。じゃね〜」

そういって、颯爽と去っていく舞佳。


「ねぇ、スペシャルサービスって……」
「ただ舞佳さんのノルマが減っただけのような気がする……」

駅前公園には段ボール箱を一個持って呆然としている公二と光がいた。



しばらくしてふと我に返った二人、
ゆっくりと周りを見渡してみる。

「そういえば、ここもゆっくりと見るのは初めてだな……」
「そうだね、何度も来てるのにね……」

ちょうど1年前、7年ぶりにひびきのに帰ってきた。
7年ぶりのひびきのは大きく変わっていた。
この駅前広場もそうなのだ。

「この1年間自分の事で精一杯だったからね……」
「いつの間に1年が経っていた気がするね……」

確かに公二と光はその変化をじっくりと見ていなかった。

親子3人での生活。
楽しい学校生活。
一所懸命なバイト生活。
一所懸命な家事。
そして自分の身の回りに起こったさまざまな出来事。

「本当にこの1年は全速力で走ってきたんだよな……」
「しばらくはゆっくり歩いていきたいね……」
「そうだな、そのぐらい神様も許してくれるだろう」

確かに人生の階段を全速力で走り続けていた二人。
やっと自分の周りを眺めながら歩いていく余裕ができたのだろう。



二人は商店街に移動して買い物を始めた。
夕食の材料はもちろんのこと、親から頼まれた物もあるので、買う物は結構たくさんだ。

電器屋、花屋、薬局、本屋、スーパー。
色々なお店を歩いて回る。

「しかし親もいろいろと連れ回すような物ばっかり買わせるな……」
「『物価を知るのも社会勉強よ』だって」
「なるほどね……」

二人の両手にはたくさんの買い物袋。
さすがに持ち運ぶのは大変だ。

「こりゃ、帰りはタクシーだな……」
「お金がかかるけど仕方ないね……」
「それに、この段ボールもあるからね……」

「………」
「………」

「はぁ〜」
「はぁ〜」

二人は舞佳からもらった箱いっぱいのポケットティッシュをみてため息をついた。



「でもタクシー代残ってるかなぁ……あれ?」

光はタクシー代があるか確認するために財布を開いてみて気が付いた。

「商店街の福引券が結構たまってるね」
「あちこちで結構買ったからな……」

公二と光はたまった福引き券を数え始める。
たくさんの福引き券を半分に分けて数える。

「え〜と、いち、にぃ、さん、しぃ……」
「あと舞佳さんからもらった5枚があるから……」
「あっ、ちょうど3回分できるね!」

うまい具合に余りがなく3回分の福引き券がたまっていた。

「舞佳さんのこれは役に立ったみたいだね」
「そうだね……」

さっそくたくさんの荷物を抱えて、抽選会場に向かう。



商店街の福引きは結構人気がある。
商品も豪華なのか、くじをひくのに行列ができている。

行列にならんでいるうちに公二と光の順番が回ってきた。
光が受付に福引き券を渡す。

「じゃあ、3回分お願いしま〜す」
「あいよ、じゃあ3回回してね」

受付のおじさんに言われて、二人は抽選器の前に立つ。

「いいのがでるといいね」
「そうだね」

期待に胸ふくらませて、光が抽選器を回す。



ガラガラガラガラ



ポトッ



出てきた玉は白い玉。


「あっ、残念だねぇ、ハズレだよ」
「ハズレか……」
「残念……」

残念そうな顔をする公二と光。
そんな二人に商品を渡す係のおじさんが優しく声をかける。

「でも、ハズレでも商品はあるよ」
「何ですか?」


「ほれ、ポケットティッシュだ、意外と使えるぞ」


そういって、二人にポケットティッシュを一つ渡すおじさん。
二人は完全に固まってしまう。



2回目。
ポケットティッシュをもらった二人は顔がまだ引きつっている。

「今度は俺が回す」
「頼むよ、ティッシュだけは……」
「ああ、これ以上ティッシュはいらないからな……」

今度は公二が念を込めて回す。



ガラガラガラガラ



ポトッ



出てきた玉は黄色の玉。


「おっ、7等だ。ハズレ以外では一番下だな」
「まあ、ハズレよりはマシか……」
「そうだね……」

ティッシュでなくて安心する二人

「7等は商店街の500円の商品券だ」
「やった〜!」

500円の商品券に喜ぶ光。
公二は光の予想外の反応に驚いてしまった。

「おい光、500円で喜ぶなよ……」
「500円でも家計が助かるからね♪」
「……まあ、いいか」

まだ喜んでいる光を半分呆れ半分ほほえましく思う公二だった。



そして3回目

「最後は一緒に回そうか?」
「うん!」

二人は一緒に抽選器の持ち手を持つ。

「おっ、一緒とはお熱いねぇ!」
「……」
「……」

おじさんの冷やかしに顔を真っ赤にする二人。

「大丈夫だよ、一緒に回せばきっといいのがでるよ!」
「はい!……じゃあいくよ」
「うん」

二人は目を合わせる。
そしてその視線を抽選器に移す。

「せ〜の!」
「せ〜の!」

二人は声を合わせて回す。




ガラガラガラガラ



ポトッ



出てきた玉は銀色の玉。



銀色の玉をみて驚いてしまう二人。

「ぎ、銀色……」
「これって、もしかして……」

カラン!カラン!カラン!

「おめでとう!1等大当たり〜!」

なんと特等の次に高い1等が当たってしまった。
鐘をならして目の前のおじさんだけでなく、周りの商店街の人も祝ってくれている。

「す、すごい……」
「や、やったね……」

喜ぶと言うよりも驚いて声がでない二人。



そんな二人に商品係のおじさんが声をかける。

「よかったねぇ、にぃちゃん、ねぇちゃん」
「はい、ありがとうございます!」

「1等はお二人にぴったりの商品だ」
「なんですか?」


「旅行券10万円分だよ」


商品係のおしざんが公二に旅行券の入った包みを渡す。

「りょ、りょこうけん……」
「じゅ、じゅうまんえん……」

想像以上の商品だったのか再び声が出ない二人だった。



「それで旅行?」
「そう、旅行」

その夜。
公二と光はそれぞれの両親を呼んで1等の旅行券について話し合っていた。

「10万円あれば4人で一泊できるから、どこか出かけてきなよ」
「そう、私たちが留守番するから、ゆっくり遊んできてよ」

公二と光は、両親4人での旅行を勧めた。
今までの感謝の気持ちを込めて。

しかし親たちはすんなり厚意を受け取ろうとしない。

「う〜ん、そうねぇ」
「ちょっと相談するから二人とも席を外してて」

「?」
「?」

意味がわからない二人はとりあえず席を外す。



二人が席を外したところで親たちが話し合う。

「しかし、この年で旅行をプレゼントされるとはなぁ……」
「ほんと、親孝行な子供達だけどねぇ……」
「でも、普通の高校生なら自分たちが行きたいと言うわよ」
「別にわがまま言ってもいいのにね……」

二人の気持ちは嬉しいがちょっと困っている様子だ。

「あの二人は本当に自分たちのことは後回しにするからねぇ」
「確かに自分たちのやりたいことを捨てているのを感じるからな」
「恵ちゃんのために、それに家庭のために生活してる感じがするのよ」
「若いときにできることは若いときにしなければいけないけどねぇ」

「このままだと、何もせずに高校卒業するんじゃないか不安なんだよ……」
「恵ちゃんがもう少し大きくなったら、本当に自分の事ができなくなるのに……」
「俺たちが面倒を見られる間は、好きにやった方が今後のためになるけどねぇ……」
「今を逃したら、もう数十年ないと思うわよ。わがまま言える機会なんて……」

親たちの不安。
それは、公二と光があまりに家庭のために生きているからだ。

子供優先。家庭優先。自分のことは後回し。

今からそんな生活では青春時代がもったいない。
二人にはもっと充実した時間を過ごして欲しい。
それが4人の想いだった。



しばらくして、公二と光が部屋に戻ってきた。
親たちは笑顔で二人を迎えた。
公二の母が話し出す。

「公二、光さん。みんなで相談したんだけど、二人の厚意は気持ちだけもらっておくわ」

「えっ!」
「えっ!」

意外な答えに驚く二人。


「公二、光さん。二人だけで旅行してきなさい」

「ええっ!」
「ええっ!」

もっと意外な答えに驚く二人。



「恵ちゃんと一緒に旅行はしたけど、二人きりの旅行はないでしょ?」
「二人だけの旅行なんて、今を逃すともう数十年しないとできないぞ」
「恵ちゃんを長い期間置いてくなんて、もうできないわよ」

「………」
「………」

親たちの正論に公二と光は何も言えない。

「今まで慣れない家事やバイトで大変だったでしょ?骨休みでもしたら?」
「二人で今後の将来の事をゆっくり話し合うのも必要だぞ」
「そうね、恵ちゃんの育て方とか、考える暇がなかったでしょ?」
「わしらの事は気にするな。二人が社会人になってから、ゆっくり旅行に行かせてもらうよ」

親たちの暖かい言葉に感動すら憶えてしまう二人。

「本当に……いいの?」
「俺たちが……わがまま言っても……」

おそるおそる聞く公二と光に、母親達が答える。

「ええ、いいのよ。正真正銘、本当の『新婚旅行』に行ってきなさい」
「たった一度の二人きりの旅行。楽しんできなさい」

「はい!」
「はい!」

二人の表情がぱっと明るくなる。
そして早速旅行の計画を立てに二人の部屋に戻ってしまう。



居間には親たちがまたもや残された。
4人ともなにかほっとした表情だった。

「やっぱり、あの二人。旅行に行きたかったのよ」
「正確に言うと恵ちゃんと3人だろうけどね」
「恵ちゃんとはこれから何十回と旅行に行けるわよ。だから今回は二人だけで」
「そうだな。俺たちが知らない二人だけの思い出をたくさん作ってほしいものだ」

可愛い子供たちが喜んでる様子に自分たちも嬉しい様子だ。

「さて、新婚さんのお留守番はどうしますかな?」
「折角だから、恵ちゃんを連れてみんなで遊園地に行かない?」
「そうだな、実は一度テーマパークというのに行ってみたかったんだ」
「そうね、でも、大の大人4人ではしゃごうなんて、公二さんや光には言えないわよね」

「あははは!」
「あははは!」
「あははは!」
「あははは!」

ちゃっかり自分たちも遊ぶ計画を立てているのであった。



部屋に戻った二人は突然湧いてきた旅行の計画を立て始めていた。

「ねぇあなた、私温泉に行きたいと思うんだけど、どうかな?」
「おっ!いいねぇ、温泉にしようか?」
「やった〜!」
「じゃあさっそく場所を探さないとね……」


「あとね、折角だから……ごにょごにょ……」
「それもいいねぇ!そっちの準備もするか!」
「うん!」

こうして公二と光の一年の締めくくりは温泉旅行に決まった。
To be continued
後書き 兼 言い訳
第14部の開始です。
これで1年生編が完結します。
今回は1年の締めくくりという感じなので、たいした話にはならないはずです(汗

第14部は春休み温泉編
公二と光が温泉旅行に行く話です。

この二人は恵を連れて夏休み旅行に出かけてます(第5部と第7部)
本人達はそれが新婚旅行だと思ってますが、親たちはそれではあんまりだと思ったのかもしれません。

今回の旅行、恵は連れて行きません。
「なんで?」という方もいるかもしれませんが、今回は二人きりにさせました。
恵との旅行なんて今後書けますから。

で、久しぶりにメインに登場した舞佳さん。
ここでは、公二と舞佳はすでに知り合い状態のため、こういう出会いになりました。
今後、舞佳さんには本編にでてないバイトもさせようかなと思ってますが、どうするかは今後考えます。

次回は温泉街に出かけた二人のお話の予定です。
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