太陽の恵み、光の恵 外伝
第0集 光と公二の新婚アルバム
その0 プロローグ
Written by B
光と公二が高校2年生のときの初夏。
「ささっ!入った入った」
「お邪魔するわね」
とある日曜日の昼過ぎ。
琴子が公二の家に遊びに来た。
しかし、公二はバイトで、公二の両親は恵と買い物に出かけて、家には光がいるだけ。
光はそれを承知で琴子を招待した。
青の横縞のロングTシャツに白のズボンという格好の琴子に対して、光はチェック柄の青いブラウスに短パンという格好で出迎えた。
光は琴子を自分たちの部屋に案内した。
琴子は部屋をじっくりと見渡す。
「初めてだよね?琴子がうちに来るのって」
「そうね……へぇ……結構綺麗にしてるじゃない」
「だって、恵がいる部屋だもん。綺麗にしないとね」
「光も主婦業がんばってるわね」
「えへん♪」
光は両手を腰に当て、自慢たっぷりの表情。
そんな光には目もくれずなおも部屋を見渡す琴子。
あらためて全体を見渡して一言。
「光」
「な〜に?」
「ダブルベッドが大きいわね」
「うっ……」
部屋のなかで結構な面積を占めているダブルベッド。
白いシーツに大きい枕が一つだけ。
かなりお金をつぎ込んだらしく、高級感があり、丈夫そうな作りに見える。
「ここで毎晩毎晩、夫婦のお勤めが激しく繰り広げているわけね」
「ことこ〜、表現がいやらしいよぉ〜」
「そうかしら?」
「そうだよぉ〜」
平然と言う琴子に対して光は顔を真っ赤にしている。
琴子は床に座って、面積が広めの折りたたみ式のテーブルに正座で座り両肘をつける。
光も琴子とテーブルを挟んで反対側に足をのばして座る。
「でも、この部屋って幸せいっぱいって感じが伝わってくるわね」
「そう?そう言ってくれると嬉しいな……」
「でも、ここまでになるのに色々大変だったんでしょ?」
「うん……そうだね……」
光はしんみりとした表情になる。
「大変な事ばかりだったけど……それだけ幸せが大きいかったんだよね……」
「そうなんだ……」
「公二は遠く離れて滅多に会えない。だから私一人でがんばらないとで……」
「………」
「いじめにもあった。寂しいときもあった……」
「………」
「でもね。小さな事でも、それが大きな幸せに感じて……」
「………」
「………」
光の言葉に琴子は何も言わなくなってしまう。
気まずい雰囲気が漂う。
その雰囲気に気がついた光はすぐにフォローに入る。
「あっ、ごめんね。嫌な思いさせちゃったね」
「そんなことないわ!私こそ光に辛い事思い出させちゃって……」
「ううん。こっちこそごめんね……あっ、そうだ!」
光は不意に立ち上がり、押入のなかからなにやら探している。
「光、何しているの?」
「えへへ。それは見てのお楽しみ……あっ、あった!」
光は何かを見つけたらしい。
ニコニコ顔の光はテーブルに探し出したものを置いた。
「これは……アルバム?」
「うん♪私たちが婚約してからのアルバム」
「へぇ〜……」
それは分厚いアルバムだった。
表紙には『公二&光』と印刷されていることから、注文して作ったもんだろう。
「せっかくだから、見てよ。たくさん写真があるから……」
「面白そうね。見せてもらうわ」
「じゃあ、さっそく最初のページだね。これは……」
そう言うと、アルバムを開いた。
そこには公二と光の愛の歴史が詰まっていた……
To be continued
後書き 兼 言い訳
恵の話を色々広げて行くうちに本編では書けない内容について外伝という形式で書くことにしました。
別に本編の話が思い浮かばないときの中継ぎ代わりではありません(汗
長さとしては本編の半分ぐらいの短い話の連結にする予定です。
外伝で書く内容は以下のパターンです。
・本編より過去の話
・本編にほとんど影響ない
・そもそもメインキャラの話ではない(例外多数あり)
・間違いなく長い
まあ、SS形式の設定集という感じになるかもしれませんが、見ていただければと思います。
そいうわけで第1弾として光と公二の婚約時から公二が正式にプロポーズする(26話)までの話になると思います。
第0集にしたのは、完結するめどがなく、あとからどんどん追加させる可能性があるからです。
そういうわけですのでよろしくお願いします。
次話から本題に入っていきます。