アルバムの2ページ目の最初の写真がある。
部屋が明るいところから、朝の様子なのだろうか。
場所は朝食が並べられたテーブル。
公二と光が横に並んで座っている。
2人とも箸とご飯を持って顔を真っ赤にしている。
いかにも撮らされたというシチュレーションだ。
太陽の恵み、光の恵 外伝
第0集 光と公二の新婚アルバム
その2 恥ずかしい朝
Written by B
「これが、翌朝の朝ってわけね」
「うん。恥ずかしかったな……」
「これが、どうして恥ずかしいわけなの?」
「うん、起きて洗面台であったんだけどね……」
『あっ……光……』
『あっ……公二……』
『………』
『………』
『おはよう……』
『おはよう……』
『昨日は眠れた?』
『う、うん……』
「ぎこちない会話ね」
「うん、なんか、初体験の時はこんなぎこちなくなかったよ」
「じゃあこの日は?」
「う〜ん、やっぱり前日にあれだけタンカ切っちゃったから、その恥ずかしさが……」
「たしか『お腹の子はうちらの愛がたくさん詰まってるんや!』とか?」
「………」
うつむいて顔を真っ赤にしてしまう光。
「はいはい……ごちそうさま……」
それをみて思いっきり呆れた表情を見せる琴子だった。
「でも、それって朝でしょ?なんで朝ご飯の時まで?」
「この写真じっくりみてくれない?」
「この写真?」
琴子は両手で写真の端を持ち、目の前に持ち上げてじっくりと見てみる。
「わかる?」
「う〜ん……あら?……もう少しじっくりと……まあ」
「わかった?」
「ええ、あなた達の持ってる茶碗でしょ?」
「そう……夫婦茶碗……」
「なんで、それだけで顔を真っ赤にするのよ!」
またもや顔を赤くする光に琴子は呆れるばかり。
「だってぇ、朝食の時にいきなりだったから恥ずかしくて……
公二がお母さんと話してたんだけど……」
『お母さん。俺のお茶碗が違うけど……』
『公二、今日からあなたのお茶碗はこれよ』
『お茶碗が割れたの?』
『違うわよ。隣の茶碗を見てみなさいよ』
『ん?……同じデザインの小さい茶碗だけど?』
『夫婦茶碗よ……そっちは光さんのよ』
『め、夫婦茶碗……』
「さすがの公二も顔が真っ赤だったよ」
「なんで夫婦茶碗が用意できたの?」
「もらい物であったんだって」
『光さん。たいした物じゃないけど、夫婦になった記念よ』
『き、記念やなんんて……』
『ほら!光さんもこっちにきなさい!』
『そ、そないこと言われても……』
『昔は隣で食べてたじゃない。ほらほら!』
「それで、無理矢理隣に座らされて……」
「写真も撮らされた訳ね……」
「お母さんとおかんがはやし立てるから恥ずかしくて恥ずかしくて……」
「なんとなくわかるわね……」
「その代わり、お父さんとおとんは遠くで複雑な顔をしてた」
「うふふふ……なんとなく想像できておかしいわね」
「でも夫婦ってだけでそんなに恥ずかしかったの?そのつもりだったんでしょ?」
「そうだけど、その当時は『夫婦』って言うより、『一緒にいられる』って方が強くて」
「夫婦って実感がないってこと?」
「うん、所詮『できちゃった結婚』だからね……その実感が沸くのはもっとあとだったなぁ」
「ふ〜ん」
「『このまま好きでいられる』と『お腹の子が産める』で頭がいっぱいだったんだよね
To be continued
後書き 兼 言い訳
公二も光ちゃんのウブですねぇ(笑)
そんな2人を書いてみました。
次話は時間が一気に飛ぶかもしれません。
例えば出産直後とか。
だって、時系列に考えてたら書けないもん(開き直り)