太陽の恵み、光の恵 外伝
第1集 不良少女と呼ばれて〜詩織と公人〜
その1 じゃじゃ馬な訳
Written by B
「で、高見くんとはいつからのつきあいなのよ」
「生まれてからよ」
「生まれてから?……あっ、そういえば誕生日が同じなんだよね。最初聞いたときは、まあできすぎた話だとは思っていたけど。病院も一緒だったの」
「それは違う。病院から戻ってきたときに、ちょうど隣も戻ってきたところを鉢合わせしたのが始まり」
「それまではつきあいなかったの?」
「近所の行事ぐらいよ。で、さっきの鉢合わせでさらに誕生日が同じって話から両親が意気投合して親しいつきあいが始まったってこと」
「へぇ〜、なんか運命的な話ね」
「そうね……本当に運命の出逢いだったと思う……」
詩織が少ししんみりとした表情で、顔を赤くしていることから、奈津江はそれが詩織の本音だとわかっている。
奈津江は「似合わない」と突っ込みたくて仕方ないのだが、あえてそれはしなかった。
「しかし、それから公人は大変だったわよ」
「どういうこと?」
「だって、私の悪態にずっとつき合わされたんだから」
「やっぱり……で、例えば?」
『ねぇ、このてもち花火どうするのぉ〜?』
『いっしょに燃やしちゃなさいよ!』
『ええっ〜、危ないよぉ』
『だいじょうぶよ!それでも男なの?』
『う〜ん……わかったよ……』
『わ〜い♪私はとおくから見てるね』
『ええっ〜!』
『ほら!文句いわずに燃やすの!』
「10本ぐらいの手持ち花火を公人に無理矢理燃やせたのよ」
「あんた昔から命知らずなことやってるわね……で、どうなったの?」
「確かに危ないしそうなったわよ」
「つまり?」
「爆発よ」
ぼかん!
『うわぁぁぁ!』
『だ、だいじょうぶ?』
『こ、こわかったよぉ〜』
『あっ……ぷはははははは!』
『し……おり?』
『ひどいあたま……きゃはははは!』
「公人ったら、コントの落ちのような爆発したヘアスタイルになって、それから1時間ぐらい笑ってたわ」
「笑うって、あんたいくらなんでもひどすぎない?」
「あとで、謝ったわ」
「あとでじゃなくて、すぐに謝りなさいよ!」
「あとは小3の秋のころだな……一緒に栗拾いしたの」
「私の話は無視?」
『ねぇ、もういっぱいひろったよぉ』
『だめ!もっとたくさんひろうの!』
『でも、どうやって?』
『こうするの!』
「その方法って、蹴ったってこと」
「正解」
「当然、詩織が蹴ったんでしょ?」
「もちろん。公人は危ないって言っておろおろしているだけよ」
「高見くんが止めるのは当然よね……」
ぼかっ!
『ウワァ!』
『あっ!』
『うぇ〜ん!いたいよぉ〜、え〜ん!え〜ん!』
『くりがあたまにあたったぐらいでなかないの!』
『いたいよぉ〜、いたいよぉ〜』
「あとで調べたら栗のトゲが何本か頭に刺さってたんだって」
「うっ、痛そう……」
「でも私はその意味がわからなくてずっと『泣き虫!』って馬鹿にしてたの」
「かわいそう、っていうかあんたまた酷い扱いしてるわね」
「詩織」
「なにかしら?」
「本当に子供の頃から高見くんのことが好きだったの?」
「当たり前でしょ?」
「どこが!」
「どこがって、好きだからできるのよ」
「好きだから?」
「うん、確かに公人のことは好きだった。でも、ガキだから好きって感情がわかってなかったけどね。つまりツンデレってことかしら」
「だから、ツンデレで片づけるな!」
To be continued
後書き 兼 言い訳
小さい頃の詩織の話題です。
お気づきの方はお気づきでしょうが、今回の2つのエピソードはGB版のイベントがベースです。
原型だけをとどめて滅茶苦茶にしています(こら)
そういうわけで次話は詩織が公人を好きになるきっかけでも書こうかと。