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太陽の恵み、光の恵 外伝

第1集 不良少女と呼ばれて〜詩織と公人〜

Written by B
「詩織」
「なに?」
「ところで、いつ頃から高見くんのこと本当に好きになったの?」
「出会ったことから……っていうの……ダメ?」
「駄目。出会ったときって赤ちゃんだから、まったくのウソじゃんそれ」
「でも、いつからって言われても困るわよ。奈津江も困るでしょ」
「あっ……」
「いつの間にか好きになってたって言うのが正直なところ」
「まあねぇ……私もそうなんだよね……」
「でも、はっきりと『公人が好き』って自覚した日は覚えてるわ」
「いつ?」



「小2の春だったわね……2人で中央公園に遊びに行ったの」
「2人で?」
「そう。あのころはいつも一緒だったから。ちょうど桜が満開の頃で……」


『うわぁ〜、きれいなさくらだねぇ〜』
『そうだね』
『きれい……きゃっ!』
『ああっ!』


「何があったの?」
「お気に入りの帽子が風で飛ばされて池に落ちちゃったの」
「ほうほう、それで?」
「風が強いからどんどん池の中央に流されそうになって……」


『ちょっと!はやくとってよ!』
『そんなこといっても、とどかないよ……』
『おとこならなんとかしなさい!』
『おとこでもむりだよ!』
『むりじゃない!およぎなさいよ!』
『うわぁ!』


バッシャ〜ン!


「それって……」
「公人を池に突き落としたの。両手で公人の背中をおもいっきり……でも」
「でも?」


「公人がカナヅチだったの忘れてたの」


『うわぁ〜!たすけて〜!』
『ちょっと!およぎなさいよって……あっ!』
『ぶくぶくぶくぶく……』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


「まあ子供がやることとはいえ、あんたねぇ……」
「うん……公人は沈んじゃって、近くの大人の人に助けてもらったんだけど……」
「沈んだって、下手すりゃ死ぬわよ」
「そう、水をたくさん飲んじゃったし、おまけにそのころまだ寒いから肺炎寸前になっちゃって……」
「や、やばすぎ……」
「結局、3日も入院しちゃったの……」



「……あれ?これって高見くんが好きってことと何が関係あるの?」
「本題はこれからよ……退院して公人が私に最初に言った事って何だと思う?」
「う〜ん、私だったら怒るより先にぶん殴りだけど……」
「さすがの私もそう思った……でも違ったの」


『あっ、なおと……』



『ぼうしはどうだった?』



『えっ?』



『しおりちゃんのだいすきなぼうしでしょ?だいじょうぶだった?』



『う、うん……ありがとう……』


「本当?あれだけされておいて、まだ帽子のことを……」
「公人って、私のわがままを受け止めてくれて……そのときだな」
「このとき?」
「確かにこのとき私の胸がキュンってしたの……公人の笑顔見てドキドキしてたの……」
「ふ〜ん……」
「好きってことまでは気がついてないけど、私にとって大切な存在だったってことは子供ながらに自覚できたな」
「まぁ、詩織が惚れるのもなんとなく分かる気するわ……」



「さらに言うと、公人ったら、すぐにスイミングスクールに通いはじめて、泳げるように頑張ってたのよ」
「へぇ〜、すごいじゃない」
「25メートル泳げた日に『こんどはだいじょうぶだよ』って言われちゃって、また胸がキュンってしちゃったな」
「はいはい……ごちそうさま……」

(はぁ〜、呆れるほどラブラブじゃない……でも、ここからが長いのよね、幼馴染みって)


奈津江はラブラブぶりに呆れつつも、その先が長いことはよくわかっていた。
To be continued
後書き 兼 言い訳
小さい頃の詩織の話題2です。
今度は中央公園のイベントを滅茶苦茶にしてみました(こら)

さて、次はGB版の思い出イベントの残りの一つを使おうかと。
どうなるかはお楽しみということで。
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