太陽の恵み、光の恵 外伝
第1集 不良少女と呼ばれて〜詩織と公人〜
その12 耐えられなくなった訳
Written by B
「高見くんはイギリスに、詩織はひとりぼっち」
「それで私は学校で優等生に拍車がかかっちゃって……まあ最初からだけど……」
『では、クラス委員は藤崎さんでよろしいですか?』
『『『異議な〜し!』』』
『わ、わたしでいいのかしら……』
『大丈夫よ。藤崎さん。なんでもできるから……』
『藤崎さん、体育祭ではリレーの選手にならない?』
『えっ?でも私吹奏楽部だから……』
『そんなの大丈夫よ。藤崎さんだったらOKOK!』
『そ、そう……じゃあ頑張っちゃおうかしら……』
『藤崎さん。このところ教えてくれない?』
『いいわよ。これは……で……だから……なの』
『うわぁ!ありがとう!さすが藤崎さん』
『そ、そんなことないわよ』
「なるほどねぇ。当然こうなるよね」
「顔にはださなかったけど、ストレスたまりまくりだったのよ」
「わかる気がする。私が一緒の時の体育がそんな感じだったわよ」
「それで、そのストレスはそれまでどう解消してたの?Mの詩織はもう撲つことはしないし」
「そうなの。本当は公人が私を撲ってほしかったんだけど」
「また無視するわね……それで実際は?」
「でも、実際は窓から公人の部屋をじっと眺めていたの」
「えっ?……そんななの?」
奈津江は驚いた。
それもそうだ。今までの話からして、詩織のストレス解消といえば、ものすごい方法なんだとおもっていたからだ。
「うん。公人の部屋から見える公人の影を見るだけで十分だった。ストレス解消って言うよりも、癒されるって感じかもね。『学校の優等生じゃない、本当の私を知っている人とが窓の向こうにいる』それだけで、自分を取り戻せる感じがして気が楽になれたの」
「ふ〜ん、なるほどね。分かる気がする。」
「でも、公人が居なくなったらそれもできなくて……本当の自分を知ってくれる人が周りに誰もいないってね。メグはいるんだけど、やっぱり公人は別格。だから家に居ても、公人の部屋は真っ暗だから、ストレスは解消されなくて……」
「それで倒れちゃったんだ」
「そう、GW明けすぐに貧血で倒れちゃった。まさかこんなにすぐに駄目になるとは思わなかったわ」
「学校中大騒ぎだったよね『あの藤崎詩織が倒れた』って」
「朝の廊下で倒れて保健室に連れられてそこで寝ていたのよ」
「たしか、詩織が豹変のはその翌日でしょ?そこで何かあったの?」
「うん、実は授業中にメグが来てくれたの」
「えっ?メグが、授業中に?」
「うん、『気持ちが悪いから』っていうことで授業さぼったみたい」
「で、メグが何か言ったの?」
「そうなの。 倒れた私の姿をみて、泣きながら行ってくれたの。
『詩織ちゃん、もう無理するのやめようよ。このままじゃ詩織ちゃん壊れちゃうよ。
高校に入ってきてから、詩織ちゃん無理してる。中学のとき以上に無理してる。
私わかっちゃった。詩織ちゃん本当は毎日が辛いの。
もう見ていられない。
本当の詩織ちゃんに戻ろうよ。私が汚れ役になってあげるから……』
これだけ私を心配してくれる友達がいなかったから、私も感動して泣いちゃった」
「それで、美樹原の提案に乗ったと」
「そう、その次の日は大騒ぎだったよね。何て言えばいいのかな?『血まみれメグ事件』って言えばいいの?」
「そうか。あれが始まりか」
To be continued
後書き 兼 言い訳
詩織がついに変わろうとしたようです。
今回はその経緯だけですね。
次回は事件の全貌をおかしくも笑いないように書こうかと(なんだそりゃ)