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太陽の恵み、光の恵 外伝

第2集 乱れ桜伝説〜八重花桜梨物語〜

Written by B
「うむ、今のは不良になった訳だよな。じゃあ、喧嘩を始めたのは?」
「う〜ん、夜遊びの時に、ナンパされたのがきっかけね」
「ナンパ?ナンパされたのがなぜ喧嘩に?」
「ナンパをされた男に乱暴されそうになったから」
「ら、乱暴って、ま、ま、まさか、れ、れ、れ……」

ほむらの顔がまた真っ赤になってしまった。
それをみた花桜梨が慌てて否定する。

「ち、違うわよ。そうなるもっと前の話」
「もっと前?」
「私を無理矢理ホテルかどこかに連れて行こうとしたのよ」
「な、なるほど……は、はずかしい……」

ほむらはほっとしたものの、顔はまだ真っ赤のままだ。



「たしか、学ランだったから高校生だったと思った。
 私の腕をつかんで無理矢理引っ張ろうとしたから、逆にその腕をつかんで投げ飛ばした。
 そうしたら他の男が殴りかかってきたから、両手からのパンチをよけた後に急所に膝蹴り。
 後ろから背中を蹴りつけようとする殺気を感じたから、しゃがんでその蹴りをかわしながら回って、軸足を蹴りつけて倒した。
 倒してから倒れてきた頭の後頭部を蹴りつけてあげたわ。
 最後はみんな慌てて逃げていったわ」

ほむらは目をつぶって花桜梨の話を頷きながら聞いていた。
表情からして、花桜梨の話を想像しているようだ。

「す、すげぇ……ん?」

しばらくしてから目を見開いて驚いた。



ここでほむらが首をかしげる。


「なぁ、今の話だと八重がやっつけたのは……」


「3人」


「そのころの八重は……まさか……」


「小6」


「す、すげぇぇぇぇぇぇぇ!」


ほむらが大声を上げて叫んだ。



その突然の叫びように、花桜梨も驚いていた。

「あ、赤井さん。そこまで驚くことはないわよ」
「い、いや。小6で高校生の男を3人やっつけるなんてすごいぜ」
「そう、そうかしら……でも、次の日から夜歩いていると周りの目が変わっていたのは確かね」
「どんな風に?」
「『誰あれ?』っていうのが、『あの人昨日……すごかったわよ』なんて声が聞こえてきた」
「ちょっとした自慢だな」
「そうでもないわよ。むしろこれからおかしくなったのよ」
「えっ?」


「気にくわない人がそれ以上にいたの。
 『なによあの子。生意気よ』とか『今度締め上げてやる』っていう声もたくさん聞こえたわ」

「そんな連中が次から次へと……」

「そう、私を襲ってきた。
 『ちょっとツラ貸しな』って言うのもあれば、いきなり『死ね!』って言って襲ってきたのもいた。
 1人もあったし、5、6人で来たのもあった。
 でも、全員やっつけた。
 殴りつけ、投げ飛ばし、蹴りつけてあげた。
 情けとか手加減とかしなかった、する理由もなかったから。
 みんなすぐに逃げていったわ」

「そうか……すまん、ついあたしが勝手に盛り上がっちゃって……」
「いいのよ。もうすんだことだから……」

ほむらは申し訳なさそうな顔をしながら、頭をぼりぼりとかいている。



「でも、それがつもりにつもって番長への道へとつながったわけだな」
「そういうこと。別に私はそんなの望んでいるわけじゃないのにね……」
To be continued
後書き 兼 言い訳
花桜梨の格闘家への道が始まりました(違う!)

格闘シーンは普通ならもっと色々掛けますが、こういう状況での回想となるとこのぐらいかと。

次回も番長への道の途中になるかと。
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