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太陽の恵み、光の恵 外伝

第2集 乱れ桜伝説〜八重花桜梨物語〜

Written by B
「バレーボールを始めたのって中学入ってからか」
「そういうこと。九州に転校した直後は昔みたいにひとりぼっちの生活。
 久々のひとりぼっちの生活は新鮮だったけど、すぐに寂しくなってね」
「まあな、一応周りに人がたくさんいたからな」
「それで、やることもないから、夕方は学校をぶらぶらぶらぶらしていた」
「そんなとき、偶然にバレーボールが足下にってやつか?」


「ええっ!よくわかったわね」
「えっ?そうなのか?いや、漫画でそんな展開があったから、冗談で言ったつもりなんだが」

2人とも驚いた顔をする。
しかし、理由を聞いてみて納得した2人はすぐに普通の表情に戻る。




「ええ、本当に漫画みたいな展開。
 足下にボールが転がってきて、それを拾ったら上級生に誘われたの、
 『せっかくだから部活見に来たら?』って。
 それでふらふらついて行ったのがきっかけ」


「さっき言ってたな?何か目の前にぶら下がったら食いついて離さなくなるって」
「そのとおり、本当にバレー部の練習に食いつくように見ていたって、先輩が言ってた」



「でもそれでも見学の段階だろ?入ったのは?」
「そんなに時間はかからなかった。私があまりに食いついて見ているから、
 別の上級生に『そんなに見ているなら試しに参加してみたら?』って誘われたの」

「それで参加したら、もう夢中!って訳だな」
「そのとおり!
 バレーボールがこんなに楽しいなんて思ってもいなかった。
 文字通り、私はバレーボールに食いついた。
 すぐにバレー部入部の申請をしちゃった」


「そうなると、次は練習にのめり込むってパターンだよな」
「漫画みたいだけど、そうなの。
 持てる情熱をすべてバレーボールに集中させたって感じ。
 だから、すぐに上達したように感じてる。
 先輩もびっくりしてた」

「まあ、運動能力は元々あるからな。そうなるのも時間の問題だったかもな」
「そう言ってくれると、うれしいな」



「じゃあ、そこからは順風満帆ってところか?」



「う〜ん、確かにこのころが一番順風だったわね。
 部活も学校も楽しかった。
 友達も少ないけど増えていった。
 2年生になったらかわいい後輩もたくさんできた。
 そのなかでも、今でもつきあいがあるぐらい仲の良い後輩もできた。
 試合でもそれなりに活躍できた。
 本当に充実した中学時代だった……ふぅ……」



花桜梨は大きなため息をつく。
ついてから花桜梨がびっくりしているところから、無意識にしてしまったのだろう。



そこにほむらが気づいた。


「ん?そのため息は、その後に問題があったのか?」
「………」
「訳ありみたいだな、まあ、留年してるからいろいろあったんだろ?」
「………」
「相当なことがあったんだな。まっ、別に言いたくなければいいぜ」



「……言わせて欲しい……」



「えっ?」

「ひとりで抱えてるのはもうたくさん。どうせならはき出したいから……」
「おいおい、一体どうしたんだよ?」

花桜梨の目が真剣なものになっている。
それにほむらが戸惑っている。


「高校でもバレー部に入ったんだけど……」


花桜梨はほむらが言いたそうなのを無視して話し始めた。
To be continued
後書き 兼 言い訳
今回はバレーボールとの出会いの話でした。
もっとドラマティックにしようかと思いましたが、オーソドックスにしました。

次がいよいよあの事件ですね。
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