太陽の恵み、光の恵 外伝
第3集 同棲日記〜奈津江と勝馬〜
その1 入学式
Written by B
詩織は2人の日記を開く。
2人とも1ページ目は入学式の日記だった。
「最初は一緒なんだ」
「これは偶然よ。やっぱり入学式で気分一新で日記も一新って感じでね」
「へぇ〜」
そう言いながら2人の日記を開く。
4月○日 晴れ
いよいよきらめき高校に入学だ。
緊張するけど知った顔も何人かいるから安心。
入学式での生徒代表の女の子は頭良さそうで美人だったなぁ。
周りを見ても可愛い子や綺麗な子や頭良さそうな子がたくさん。
はぁ、私はとうていかなわないなぁ。
それにしても、入学式の日から勝馬は遅刻寸前ってどういうことよ!
今日は大丈夫だろうけど不安だからとおもって、勝馬の家に行ってよかったわよ。
勝馬は勝馬で「あれ?奈津江、遅かったな」とか呑気に言っちゃってさ。
そのまま放っておこうと思ったけどできなかった。
あ〜あ、幼なじみって苦労するよねぇ。
明日からも毎日起こしに行かないと駄目みたい。
高校になったらまともになると思ったのにぃ。
勝馬の馬鹿!
「あ〜あ、最初からラブラブな日記ねぇ」
「どこがなの!」
「芹沢くんのことしか書いてないところが」
「………」
詩織の率直な指摘に奈津江は反論するすべがない。
「さて、芹沢くんの日記はと……」
「うわぁ、汚い字……普段はこんな字じゃなかったのに……」
「適当に書いたんじゃないの?たぶん。どれどれ……」
4月○日 晴れ
入学式から遅刻しそうになったけど奈津江が来てくれて助かった。
もう少し早く来てくれたらよかったのに。
まあいいや。間に合ったから。
さて、高校に入ったはいいけど、何しようか。
なにもする気ないなぁ。
部活もかったるいし。
寝りゃなにか浮かんでくるだろう。
そういうことで俺はもう寝る。
「………」
「………」
2人とも硬直。
詩織は日記を持ったまま動かない。
奈津江は額をテーブルにぶつけたまま固まっている。
「中身がまったくない……つけてるだけすごいわね」
「馬鹿……勝馬の馬鹿……」
まるでやる気がない日記。
さすがの詩織もびっくりだった。
「な、なんて言ったらいいやら……奈津江、次読んでいい?」
「そ、そうしてくれればありがたい……」
ドラマもなにもあったものではない日記。
しかし、既にドラマが始まっているのには間違いない。
日記にも徐々にそれが現れるようになる。
To be continued
後書き 兼 言い訳
今回は助走という感じでたいしたことない内容ですね。
そういうわけでこれはエンジンは徐々にかけようかなと。