太陽の恵み、光の恵 外伝
第3集 同棲日記〜奈津江と勝馬〜
その4 嫉妬
Written by B
「ところで、奈津江ちゃんが、芹沢くんのことが好きだって気づいたのはどういうとき?」
「……それ言うの?」
「別に言わなくてもいいわよ」
「本当?」
「うん♪今、それらしき日記見つけたから」
「………」
6月○日 晴れ
………
放課後、勝馬が戎谷と遊びに行ったみたい。
戎谷、またさぼった。
まったく、いつもさぼるくせに、たまに来たとおもったら、
すごいプレイするからむかつく。
はぁ、勝馬もバスケ、またやらないかな。
もう何度も誘ってるんだけどな。やっぱり厳しいのかな。
やれば絶対にレギュラー取れるのに、はぁ。
6月□日 晴れ
今日、勝馬が市の3on3の大会に出るとか聞いたので、恵とこっそり見に行った。
どうやら戎谷に誘われたみたいだけど……あんた出ていいの?
でも……勝馬、かっこよかった……
まったくバスケやってないけど、そんな風には見えなかった。
もうシュートばんばん決めて戎谷よりも目立ってた。
自分が出たんじゃないけどなんか嬉しかったな。
………
6月▽日 くもり→雨
勝馬が恵と相合い傘して帰った。
なんかいや。
そりゃ、あの3on3のおかげで学校でも勝馬が有名になったのは嬉しいけど……
なんで恵が勝馬に惚れちゃうの?
恵は「占いでは最高の相性なんです!」とか言ってたけど……
今日は部活がないことをいいことに、
傘を持ってなかった勝馬を恵が誘った。
勝馬、まんざらでもなさそうだった……
やっぱりいや。
「もう、芹沢くんのことが気になってしょうがなくて、芹沢くんに惚れ直して、最後には嫉妬しちゃてるじゃない」
「降参……たぶんそのとおりだと思う」
「そういえば、なんで奈津江ちゃんが相合い傘に誘わなかった?」
「そんなの……相合い傘なんて恥ずかしいじゃない!でも、ずぶぬれになるのはかわいそうだとおもって、迷ってたら恵が」
「でも、恵ちゃんって、こんなに積極的だったの?見た目はおとなしそうだけど」
「恵とは長いつきあいだけど意外も意外よ。だからよけいにショックが大きかったわよ」
「ふ〜ん、芹沢君が他の女の子に興味を持ってショックだったんだ〜」
「うっ……」
「さてと、芹沢くんはこのときどうだったのかしら……」
「詩織……自分で図星突いておいて無視するわけ?」
6月◎日 晴れ
放課後、淳とゲーセンで遊んだ。
あいつ、バスケ部しょっちゅうさぼってて、人ごとながらクビにならないか心配だ。
聞いてみたら「たまにでて、ちゃんとやればクビにならないよ」だってさ。
実力はベンチ入りメンバーと同等だとか聞いてるけど、やっぱり気になる。
今朝も奈津江からバスケ部に誘われた。
だから、金がないから無理だって言ってるのに……
6月◇日 晴れ
最近、どうも知らない女の子からよく話しかけられる。
この前の3on3からか?まあ珍しくがんばったけど、こんなに話題になるとは。
淳は「ようやくお前も春が来た」って言ってるけど。そんなのいらん。
変にキャーキャー言われてかなわん。
俺に必要なのは平凡な日々なのに。あ〜あ。
6月▽日 くもり→雨
午後から雨になったので傘がないので困っていたら十一夜が誘ってくれた。
誘ってくれるのなんて初めてだ。
奈津江でさえ予備を貸してくれるのはあったけど、相合い傘なんてなぁ……
恥ずかしいのはあるけど、それ以上になんか違和感がある。
奈津江じゃないから?
さぁ、それはないと思うが。
十一夜って可愛いんだけどなぁ。
どうもこんな状況に慣れていないのがなぁ。
淳ならうまくやれるんだろうけど。
「………」
「どうです?奈津江ちゃん、感想は」
「……なんかほっとした」
「どうして?」
「恵との相合い傘で嬉しく思ってなかったのがね……恵には悪いけど」
「ところで、芹沢君とはその後相合い傘はしたの?」
「……こないだ初めてした」
「へぇ〜、でも雨降りそうなら、奈津江ちゃんなら傘を持たせそうだけど」
「いや、勝馬も私も持ってんだよ。放課後、さあ一緒に帰ろうとしたら、突然勝馬が恵との事を思い出して『そういえば奈津江とはなかったな』ってことになって……」
「傘を1本だけにして相合い傘になったと」
「すっごくすっごくうれしかったんだけど……後ろから『やっぱり新婚夫婦はお熱いわねぇ』なんてはやしたてられてすっごく恥ずかしかった!」
「ふ〜ん、でもよかったじゃない」
「ちょっと……人ごとのようだけど、はやしたてたのあんたでしょうが!」
To be continued
後書き 兼 言い訳
話は完全にCD無視してますけど、大まかな筋ぐらいは抑えておきたいと思いまして。
次に事件が発生して、ストーリーのメインに入っていきます。